「おつきみやまとピッピの月」 Part.2
リスナーに聞いてみる。
三人寄れば文殊の知恵、変態も5人いれば戦隊に進化するかもしれない。
くっそ長いだけの坑道説
ダウジングしようぜダウジング
分かんにゃい……
リスナーに〈やまおとこ〉の人おらんの?
ほとんどは雑談みたいなもので特にヒントになるわけでもないけど、気を抜いたら〈こんらん〉しそうな横穴の中でだれかと喋ることが、レッドにはなによりも安心できることだった。
そうやってコメント欄が流れていく中で、ひとりだけ思い当たったリスナーがいる。
スリーパーだいすきおじさん
\4,000
REDちゃん、ちょっと言うこと聞いてもらっていいかな
ちょっと危ない名前のリスナーが危ないコメントをスパチャで投げてきた。
ざわつくコメント欄に荒ぶるリスナー、荒しBotどころじゃない異変にスマホロトムも尋常じゃなく焦っている。
とはいえレッドはそんなことを気にしている配信者でもなく、むしろなんでみんな荒ぶっているのか分からないくらい初心だったけど。
「なになに? なんでもやるよ!」
さらにコメント欄がざわつく。
天然でこういうことをしてしまうから、目が離せない12歳だった。
スリーパーだいすきおじさん「スマホロトムを見つめてもらっていいかな」
「こう?」
レッドの顔が配信画面にドアップで映る。
明るい茶色の瞳はくりくりとして、さらさらとした黒髪のポニーテール、輝く笑みが楽しそう。
一部のリスナーは、パーカーを着ていても分かる年の割に大きな胸しか見ていなかったけれど。
顔が良い
ガチ恋距離たすかる
結婚しよ……
青少年の心を射止めてお兄さんお姉さんたちの庇護欲をくすぐる。
これにはさすがの荒ぶるリスナーもにっこりしてスリーパーだいすきおじさんにお礼を言う。
一方、スマホロトムとピカチュウだけが状況についていけなくてハテナマークを浮かべていた。
スリーパーだいすきおじさん「はいここでスマホロトム君、カメラのフラッシュを焚いて」
スマホロトムがフラッシュを焚きながらカメラを撮る。
「目がーっ!?」
レッドは目の前でフラッシュを使われたことで目の中に星を飛ばして、ちょっと涙目になりながら顔をおさえる。
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