ハーメルン
青き銃士と戦女神(ヴァルキリー)
第3話『覚悟とオルクス大迷宮』



―side:Magna Convoy―


私がハジメや綾波を連れて訪れたのはちょっとした広さのある空き部屋だ。学校の教室と同じくらいはあるだろう。
「まずは綾波、お前の分のステータスプレートだ」
「ありがとう…です」
「使い方は分かるか?」
「はい、それが…碧刃さんについて行くと決めてからこの惑星の言葉が分かるようになったです」
私の元に来てから?その疑問は直ぐに解消された。


『高坂綾波 13歳 女 レベル:???
天職:戦女神
筋力:12000+α
体力:12000+α
耐性:12000+α
敏捷:12000+α
魔力:12000+α
魔耐:12000+α
技能:金属細胞適合型不老生命体・毒無効・全属性耐性・物理耐性・威圧・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・魔力操作・言語理解・騎神の加護・騎神の祝福』


言語理解…この技能のおかげで私達はトータスの原語を理解できたのだが、綾波の場合はエヒトによって召喚された私達とは異なり、偶然この世界に飛ばされてきたが故に私と出会うまでは言語理解を取得出来ていなかったのだろう。
魔力操作と騎神の加護と祝福が気になるが…今はよしとしよう。
それよりも他にやることがある。
「ハジメ、綾波。お前達を此処に連れてきたのは私達は此処で鍛練するからだ。綾波の存在は今バレると色々と面倒な事になるだろう」
「確かに…私は言うなれば部外者…です」
「そして、ハジメ。お前を他のクラスメートと一緒に訓練を受けさせるのは不安しかない。それに、お前の能力は後方支援向きだ」
「まぁ、確かにそうだよね…非戦闘職だし」
「お前の技能は使い方次第でトラップ作成などに応用出来るだろう」
「つまり錬成の技能も使い方によっては武器になるんだね」
「そうだ。それに現地での武器の修理・改修も出来るだろう。そこで―」
私は持ち込んだバッグの中から端末を出し、ある資料を表示させると共に持ち込んでいた武器を出した。
「午前中は体力作りや戦闘技術を、午後は武器を組んだり改修したりして錬成の技能を鍛える。だが、その前にハジメと綾波に確認しておきたい…お前達には人を殺す覚悟…その手を血で汚す覚悟があるか?」
「人を殺す覚悟…」
「血で汚す覚悟…ですか…」
「この先、私達はネストからの救援を待ちつつも此方からも地球への帰還の手掛かりを求めて協会から離れ、旅に出る事になるが、その過程で魔物は勿論、場合によっては人間族や魔人族と戦う事も、その時に戦って殺せなければ自身は勿論、仲間にも危険が及ぶ事もあるだろう。
だが、私と違ってお前達は本来は戦う必要のない民間人だ…だから強制は出来ない。その時は私が背負う」
「私は…綾波は戦う…です。あの時…両親や姉妹を殺された時に何も出来なかった…そんなのはもう嫌…です!」
「碧刃…正直に言うと僕は怖い。人を殺す事なんて出来ないかもしれない…でも、それ以上に碧刃が戦っているのに僕だけ黙って見ているなんてできない!
僕は生きて地球に帰りたい…碧刃や綾波ちゃんと一緒に!その為にならこの手を血で汚しても吐いてでも戦う!」
そうか…悪くない。あの勇者よりよっぽどマシだ。
「良いだろう。だが、私は優しくないぞ」
こうして私は2人を鍛えるのだった。


―side out―

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