サスケ転生!
ナルト世界に転生した俺にとって良い事と悪い事が同時に訪れていた。
質問でどっちから聞きたいかと尋ねるネタがあるが、今回に関しては同時に記しておくとしよう。この問題は二つで一つだからな。
「サスケなのに……両目とも加具土命なのかよ」
大好きなナルト世界でしかも主人公格のサスケとあって狂喜すらしていた。
しかしせっかく万華鏡写輪眼を初期から開眼しているのに、固有瞳術が微妙系と言われる『加具土命』だったのは地味にショックだ。消費の大きい天照とセットならかなり使える瞳術とは言われているが、単独では意味が薄く、しかも両目が同じでは切り札の『須佐能乎』が得られないとあっては嘆くしかない。
「俺は原作のサスケほど強く成れるのか?」
アカデミーの時点で万華鏡に覚醒しているので序盤に関しては圧倒的に強いのは間違いない。だがその後の伸びしろが明らかに劣っている。せっかくナルト転生して浮かれた気分が台無しになるのも仕方ないだろ? それよりもこの後、どうやって原作を乗り越えて行くのか不安でたまらなかった。
「落ち着け……天照が無いと越えられない壁はあったっけ?」
ラスボス戦では付与術として利用できる加具土命の方が使えていた。しかしそれ以外はどうだっただろうか? 死ぬまでに何年も経っているし転生していることもあって記憶は曖昧だ。大好きだった漫画でなければ、ここまで覚えていたかも怪しい。
「ダメだ……思い出せない。だが里抜けしなきゃ何とかなるんじゃないか? いや、それ以前に。瞳術に頼るべきじゃない? あくまでオプションにしとけば……」
脳裏に浮かんだのは我らが卑劣様だ。彼は誰でもできる事を極める事で、初代火影という異能者に並び称される存在となった。もちろん『卑劣様の事を扉間というのを止めてあげろよ』なんで不埒なギャグが流行るくらいである。その冷静で合理的極まりない考え方が大前提であり、注意が必要なのだが。
「よく見ると左右で色が違うんだな。オッドアイってやつか。……ちょっとだけ格好良いかも」
写輪眼状態では変わらず万華鏡化すると左右の色が変わる。中二病ポイがまだまだ小学生なので気にしても仕方ない。むしろ普段は隠せることで格好良いとすら思っていた。やはり俺はうちは系なのかもしれない。
長々と地味に修業するのは性に合わないし、万華鏡は使えば使う程に視力が落ちてしまう。そこで最初に数回使って傾向を掴むと、効率的な修行を始める事にした。時間を傾斜させて忍術修行に特化させつつ、コツの方は『コピー』で済ませる事にしたのだ。せっかくの写輪眼、使わなきゃ損だろ? 修行と観察の過程で面白いことが判ったのはラッキーだった。
「軻遇突智とでも名付けるか。カグツチって読み方は同じだしな」
色々あったが実際に修業を始めると杞憂だったようだ。右目の万華鏡は従来の加具土命で形態変化特化型だが、左目は性質変化特化型だったのだ。右目が呪われし消えない黒炎をも操るとしたら、左目は浄化の炎である白炎を操るという差もあった。少なくともこれで須佐能乎を使える可能性が出たのはありがたい。とはいえアレは負担が掛かり過ぎるので、永遠の万華鏡を手に入れるまでは多用などできるはずもないが。
「しかし右目が邪ならば左目は聖を操る……か。ふふふ」
聖邪を見据える審神者の瞳という訳だ。これは中二病にも磨きが掛かろうという物。しかし審神者の眼といえば、異なる世界、異なる神を見据える能力だ。須佐能乎は別次元にエネルギーを投射するのだろうかとくだらない事を考える余裕すらあった。
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