ハーメルン
二つの加具土命【第一部完】
紆余曲折あったけど修業は終わり!

 第七班結成におけるサバイバル試験、その始まりだけはあまり変わらなかった。
カカシがナルトを挑発してクナイを投げようとしたところで介入開始する。用意するのは写輪眼で見せる単純な映像投射型幻術を二つ。一つは俺の指の先に絡めた鈴、もう一つはカカシのズボンを鈴無し姿に上書きするだけだ。

「そう慌てんなよ。まだスタートは……馬鹿な、鈴は此処に……」
「こういうべきかな? そう慌てんなよ。ただの幻術だろってよ」
 ナルトの後頭部に奴自身のクナイを突き付けさせる。その動きを止めようとして後追いで幻術をカカシに見せたが、実際には指先の映像を見せたいだけだ。

「ちっ。本当は離れたところで驚かしたかったんだがな」
「サスケ……お前。既に『開眼』しているな?」
 原作知識でフライングした内容だが、写輪眼は一度消して驚かす悪戯として発言しておいた。だが、恐るべきことにカカシはたったそれだけの仕草で、俺が写輪眼を開眼している事に気が付いたようだ。

「咄嗟に幻術を思いついたセンスは良いな。だがよく考えて使わないとあまりにも多くの情報を敵に与えてしまうんだよ」
 カカシはそこから目を閉じて一気に距離を空けたが、流石に写輪眼があると知っておどけた動きをする気はないのだろう。

「よーし! 今度こそドベなんて言わせ……」
「落ち着けナルト。そんなだから平均なんて嘘に騙される。忍者なら裏の裏を読むんだな」
「どういう事だ? 先生たちは確かに能力を均等に揃えたと」
 張り切って突撃しようとするナルトを言葉で制する。原作では断言されていないが、あえて説得する為に利用させてもらった。おかげでナルトだけではなく、サクラも相談モードに乗ってくれたようだ。

「本当に平均だったら猪鹿蝶の三人組を合わせるか? そりゃ代々あんな感じの体形だがな」
「言われてみれば……知ってたってばよ」
「キバ達も怪しいか。感知系三人というのは異様だ。上忍が自分の得意分野で揃えたのか」
 ナルトは相変わらずだがサクラの方は言いたいことに気が付いてくれたようだ。カードゲームの遊び方の中に袋を開けた後、欲しいカードを順番に取っていくデッキ構築ルールがある。あえていうならそんな感じで作為的に振り分けたのだろう。

「でも、結局どういうことだってばよ?」
「お前がドベって言ったのは煽りだってことだ。おそらくはこの試験もな。考えても見ろ。下忍が簡単に上忍に勝てたら苦労はしねえよ。飯や煽りは全部焦らせて個別に挑ませるためだ」
「なるほど。連携すべき所を分断すると同時に、それぞれの能力を見る気だな」
 ……なんというかナルトと違って、サクラは一を語ったら十を悟るので怖い。このサクラさんってば、実は俺と同じ転生者じゃねえのか? まあ今は心強い限りだがな。

「それぞれの得意技と忍具の余裕度合いを聞いておきたい。俺は火遁が少々に、封印と時空間忍術が多少。見ての通り巻き物に色々仕込んでる」
「影分身には自信があるぜ! 風遁がちょびっと? あと腹が減ってる」
「……格闘・白兵・投擲を一通り。それと瞬身を多少。ただ忍具は通常任務用だ」
 サスケ奪還編を参考に可能な事と装備を確認しておいた。連携して攻め立てるとしても、何ができるかを知っておかねば意味がないからだ。しかしこのサクラさんは非常にストイックで強そうですね。実は俺らの中で一番、二部の強さに近いんじゃねーの?

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