ハーメルン
【完結】Re:Connect ―揺れ動く、彼女の想い―
みんなのために、なるのなら
――――
「……やぁ」
玄関を開けると、そこには私服姿のヒロトがいた。
「あっ……ヒロト。何か用かな」
私はぼそっと呟いた。
ヒロトも何だか心配そうに、私の事を見ながら……。
「大丈夫か? 最近その、様子が少し変だって思ってさ」
やっぱり、彼にも心配させてたんだ。
「――ううん! 私は大丈夫。ヒロトが心配するような事は何もないよ」
そんな心配なんてヒロトにまでさせたくない。
私はすぐに、いつもの様子でそう答えた。
「ヒナタがそう言うなら……分かった。
ところで――」
すると彼はこんな提案をする。
「今日もGBN、一緒に行かないか? 他のみんなもいるからヒナタもと思って」
GBN、みんなと一緒に。
何だか今日は少しモヤモヤな感じ。……だから私もGBNで楽しんで、そんな気分も吹き飛ばせればって。
「うん! なら……私も」
笑顔で、私は言った。
きっと――これで少しは、スッキリするかも、しれないから――
――――
「おうヒロト! それにヒナタ! こうして会えて、嬉しいぜ」
GBNにログインした私達は、ビルドダイバーズのみんなに合流した。
「俺もだ、カザミ」
「ははは! ……本当にヒロトは随分変わったな。最初会ったときには、あんなに無愛想だったのにさ」
「ふふ、今思い返せばあの頃の俺は恥ずかしかったな」
GBNのロビーで、ヒロトとカザミさんは二人して笑いあっていた。
――ふふっ。ヒロトのあんな様子を見ていると、私も――
ヒロトが嬉しいなら自分も嬉しい。やっぱり私の幸せは、きっとこれなんだ。
「ヒナタさんも、何だか嬉しそうですね」
すると横にいたパルくんが私に話しかける。
「うん。ヒロトが嬉しいと、私もね。だって私は……ヒロトの幼馴染だから」
「幼馴染……ですか。僕にはそんな相手はいませんから、幼馴染ってどんなものなのか気になります」
「――ほう? それは、私も気になるな」
するとメイさんも私の話に加わってくる。
「……あっ」
メイさんの顔を見た時私はドキッとした。
……やっぱり自分の気持は、そう簡単にいかない。けど私は普通に会話する。
「もちろん、メイさんにも。
……幼馴染って言うのは小さい頃からずっと一緒で仲良しな、お互いの事をよく知っている、友達よりも仲が良い関係なんだ」
「へぇ! とっても素敵な関係ですね」
パルくんは目を輝かせて私を見てくれる。
「あはは、そんな目で見られると照れちゃうよ」
「幼馴染か。ELダイバーにはない、関係だからな。きっと……強い絆で結ばれているのだろう」
メイさんも、そんな風に言ってくれた。
きっと何気ない一言だけど……
――強い絆。本当に、私とヒロトには――
少しだけ分からない。絆はあるって思うんだけど、そう言うメイさんやみんなと比べたら、やっぱり。
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