大規模作戦
駆逐艦朝潮
「大潮、今いいですか?」
「……わかってますけど、何ですか?」
「…なぜ司令官を殺そうと?」
「大潮からも聞きたいんですけど、なんで止めようとしないクセに泣いてたんですか」
「……それは、わかりません、心の底から憎いのに…死んでしまうのかと思うと、心が痛くて…」
「…憎いんだ……私も憎いんです、前の私が、死んでるから…」
「……ええ、よく、知っています」
「そっか、時期被ってましたもんね…十分な理由でしょ…?なにより…本当には殺しません…ただ、毎日ああして、いつでも殺せるんだって思わないと…自信がなくなるから……」
「そうですか、でもそれは…」
「わかってる…わかってるんでよぉ…ただ、私が拗ねて、怒って、子供なこと言ってるだけだって…前の私も、仕方なかったんだって……」
「あの時、私も無力だと痛感しました、あなたを救えなかった責任は、私にもあります」
「……やっぱり庇うんですね…」
「いいえ、庇うんじゃなくて、私にもその気持ちを向けてください、救えなかった私が悪いんです」
「………なんで、あのとき泣いたんですか?」
「…わかりません、ただ、気づいたら」
「…なんで憎んでるんですか?」
「……それも…わかりません…司令官を見ると…とても…抑えきれない憎悪が…」
「どっちが正しい感情なんでしょうね」
「……正しい感情…?」
「二つの感情がぶつかってるんです、どっちが正しいのかわかったら、教えてください、その時は、私もそっちに…」
「…正しい感情……なんで私は司令官を…いや、でも…私にとって、前任の私や姉妹のことは……違う、軽くなんか見てない、でもアレは…司令官だけのせいじゃない……なのに…なんでこんなに………」
私の正しい感情って…何?
駆逐艦 満潮
「ふーん…頭おかしくなってるんじゃないの?」
「それは流石に言い過ぎよ、でも、確かにまともじゃない様子ね」
「まあ、多分、片方は恋です、荒潮も言ってました…」
「へぇ…あのクズにねぇ…」
「クズはやめなさいよ、私たち一ヶ月も一緒にいなかったのよ?」
「……ま、それもそうね」
「そしてもう一つは…本当に不思議そうでした、なんであんなに辛い顔をしながら憎んでるのか、悩むなんて」
「じゃあ、憎くないんじゃないの?」
「あんたって本当にシンプルよね」
「英語にしたら誤魔化せると思った?馬鹿にしないでよ満潮」
「ちゃんとお姉ちゃんって言いなさいよ」
「……はぅぁー…」
「……」
だいぶん参ってるようね
自分の感情だけでも整理しようと一杯一杯なのに
「大潮姉さん、無理しなくていいの、朝潮姉さんのことは私たちが解決してきてあげるから」
「ちょっと!?私を巻き込まないでよ!」
「大人しく従いなさいバ霞」
「あ!こら!耳を引っ張んな!痛い痛い!」
別の所属だから仕方ないけど、ほとんど話したことはないし…
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