第10話
練也「!?」
白狼天狗「そこでしばらくおとなしくしていろ。暴れたら身のためにならんぞ。」
練也「くっそ.....。」
俺は今とある山に連れてこられ、その中に築かれた天然の城塞が如く施設内にて幽閉されている。鉄格子の奥へ去っていく白い白狼天狗の姿を睨みながら、壁にもたれ天井を眺めた。日の光さえ当たらない暗い牢獄の中で、一体何が起こったのかもう一度整理している時に思い出すことと言えば、先程発生した自身から放たれた衝撃波....。しっかしぼこぼこにされ、吹き飛ばされても尚、まだまだ災厄が降りかかってくるとは......。今年は八方塞がりかな?
隕石の炸裂によって生じた結界の裂け目から、1つ小さな飛翔体が何かを携えて幻想郷の夜空を飛翔する。飛行音を制御しつつ、その飛翔体。カブトゼクターは静かに人里へと向かう。突如響いた、いや、轟いたといっていいであろうその騒音に、人里の住人達はそれぞれの戸口を開け放ち状況を確認する。
慧音「(折角妹紅が催しごとの支度をしてくれたというに....、一体何が起こっているというのだ。)皆、怪我はないか?」
里人「おお、慧音さん。皆無事です。」
慧音「そうか....。良かった....。」
顔に安堵の表情が浮かぶ間もなく、状況確認の為私は轟音が轟いたとされる場所へと妹紅や里の自警団数名と共に歩みを進めた。
慧音「(轟音は、先程見えた隕石と何か関係でもあるのだろうか.....、隕石の衝突によって生じた音なのであれば相当な被害の筈.....。)」
自警団「....あれは!?慧音さん、妹紅さん!!あれを....!!」
妹紅「一体何を......。....えっ?」
なんと私達の眼前に飛び込んできたのは、そこにある筈のない神社であった。人里のこんな外れのところには神社はおろか、寺院や小さな祠などありはしない。あったにしても道祖神が道端で数体佇む以外にありえなかった。私達の記憶の中にこのような神社の存在はなかった。
慧音「......。」
妹紅「......慧音、これはもしかして....。」
慧音「ああ.....。おそらく異変だ。この雰囲気からは、まだ敵対する者かどうかは判断出来ないが....。とにかく博麗の巫女、妖怪の賢者の両者が動いていることは、ほぼ確実であろう。結界に歪みが生じている以上、我々も枕を高くしてはいられん。」
妹紅「....自警団から見張りを出そう。私もこのあたりを回ってみる。」
慧音「ああ。頼んだぞ妹紅。」
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