ハーメルン
東方 外来人物語
第9話

練也が神社にて戦いを繰り広げ、そして消え去る迄の間。彼の自室に置かれたままのベルトにも、変化が起きていた。煌めきの中に、微弱に走る電流。まるで何かをベルトが感じている、いや、何かがベルトへ意思を送っているものの様。より一層、電流が激しくなってきた。傍から見ると、バックの中に入っているのに関わらず、そのバック自体にも電流が生じている程。その電流が顕著に、それと同時にそこに何者かが現れた。

........。

ブゥンンンという飛行音。生物的か機械的かと言えば、機械的なものと捉えるに難くはない。その飛行音と共に現れたのは、カブトムシの形をした、赤い煌めきに彩られた外殻を持つもの。それが飛行音を響かせて、そのベルトへと近付いていく。まるでふんだくるように、開いたファスナーの隙間から頭部のホーンを突き入れたのちに、ベルトをそこに提げてその場からすぐさま飛翔...。時速900kmというスピードにて、目指す先は飯縄神社。そこで戦いを繰り広げているベルトの持ち主の下へと向かう。


練也「ああああああああああああっ!!!!!!」

ワーム「.........っ!!!?」


咆哮が響き、その後に轟く衝撃波。真夜中に轟く尋常ではないその現象は、周辺の住民達の耳にも届いていた。轟いた衝撃は一方的に広がる、広がって、境内全体を包んだ。見えない波は、その場に存在するあらゆるものを浮き上がらせ、そして波の軌道に巻き込まれ捲りあげられるように弾かれた。普通なら弾かれたまま、外側へと吹き飛ぶのが当たり前ではあるがそれは起こらなかった。練也が発した衝撃波に反応するように、まるで何か空間に裂け目が生じるが如く歪みが出来上がり、先程浮き上がり弾き飛ばされたもの全てがその歪みに吸い込まれていく様であった。練也とワームがその歪みへと飲み込まれていく様子を見た赤いきらめきを放つカブトムシ....、「カブトゼクター」は、躊躇いなくその裂け目へ突っ込んで行った。その痕跡は、跡形もなく残らなかった...。まるでもともとそこに何も存在しなかったかのように...。


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文「真夜中に起きてくれるとは、これはありがたい状況....。他の追随を許すことなく、独占取材をする絶好の機会です!」

私、射命丸文は先程発生した騒音の取材に向け早速動き出し、いち早く紅魔館へと向いました。なんとそこには、見るも無残にところどころが何らかのがれきの直撃を受けて破壊された紅魔館の外壁が、私の目に映ったのです!これはただ事ではありません、早速取材を...。.....っと思いましたが、なにやら気配を感じますねえ、それも何かピリピリしたものを......。妖精ではないことは確かですが...。その方向へと目をやれば、霧の湖の湖畔にその気配を放つ1人の人間と思しき影....。夜の山において、白狼天狗には敵わなくとも抜群の感覚神経を有する烏天狗の私にかかれば、多少の暗さはどうと言うことなどありません。無論、その人間と思しき者も私の存在に気付いているのでしょうが...。

文「そこのお方!貴方は人間ですか!」

擬態練也「.....。」

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