ハーメルン
奴隷転生~異世界に転生♂したら、美少女♀と間違えられ男の娘として生きています~
6-1話 幕間 アイリス 7話 出荷
ボクの生まれた村は、開拓村と呼ばれていた。
人口が増えた村から、新しい土地を求めて集団で開拓をする新しい村。
成功すれば開拓され尽くした前の村と違い、土地は広大に広がるフロンティア、ボクの父と母もそんな夢を見て、ここにやってきたんだと思う。
3人兄妹だった。
今、ボクは両親に売られて、荷馬車に載せられている。
銀貨10枚が、ボクの値段だ。
本当に3人兄妹だったのかな?
歳の離れた兄を思い出して、今になって頭をよぎる。
城壁を抜け、知らない街の知らない屋敷に連れてこられた。
ここで、売られるまで待つみたい。
不自由な開拓村で、両親の手伝いをしていたから体力には自信があった。
剣の訓練を受けると、歳上の男の子にも負けなかった。
ボクは剣士になろうと決めた。
目標が見つかったら、ボクは泣くのを諦めた。
同じような奴隷の子達に、積極的に話しかける。
どんな状況にも負けない、ここは開拓村なんだと思うようになった。
そんなある日、黒髪の天使のような女の子が連れてこられた。
異国から来たのか、言葉が通じなかった。
凄く可愛かったから、仲良くなりたくて何度も話しかけてみた。
そしたら、そのうちボクの言葉が通じている気がした。
でも、無視された。
それでも諦めずに話しかけていたら、男の子だとわかった。
こんな可愛いのにって、ボクはショックを受けたんだ。
名前はないって言うから、クロくんって名付けてあげた。
また、無視された。
でも、ある時から凄く仲良くなった。
今では普通に会話をしてくれる。
ただ、彼との模擬戦は、どんどん力の差が広がるのを感じた。
ボクはまたショックを受けた。
そして、今は女傭兵さんに買われて、屋敷を背にしている。
最後までボクの名前を呼ばなかった彼は、ボクの名前を、顔を、思い出を、覚えていてくれるのだろうか。
ボクの名前はアイリス。
いつかまた…
7話 出荷
人生で面接される機会が、何度あっただろうか?
進学?就職?
人によって数は違うものの、重要な点は共通している。
自分という商品の価値を、返品をくらわない程度に過大評価で認識させる事だ。
なぜ、こんな事を考えてるかって?
今、俺は奴隷という商品で、面接を受けているからだ。
売り込み失敗後の行き先は、あまり考えたくない…
「歳はいくつだね?」
「13になります」
「暗算ができると書いてあるが、試しても?」
「はい、問題ありません」
履歴書のようなものを見ている40歳ほどの商人に、基本的な事から聞かれ、猫を被って答える。
その後も無難なやり取りを続け、好感触を得たところで…
「住み込みだから、私のベッドに一緒で問題ないな?」
「…俺は男ですが?」
「男か…いや、それだけ美しければ男でも…」
「刺し違えてもよろしいなら…」
軽く殺気を込めて睨みつける。
商人は引きつった顔で、部屋を出て行った。
ああ、これで3度目だ…
頭を抱える…
皆が俺の顔を見て気に入るが、男だと知って幻滅する者、先程のような反応をする者…
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