5話
次の朝、百之助は入院する前の日課だった筋トレや走り込みをした後、シャワーを浴びていた。
「やっぱり訛ってるな…」
男子寮は二人しかいないので普通なら下宿しなければならないが理事長代行である高松咬月の意向により百合ヶ丘女学院の内部に作られていた。
シャワーを浴びたあと体を拭き制服に着替えて寮の食堂に向かう。ちなみに男子寮には食堂が無いので2年の女子寮で取らねばならない。なので朝早く行きさっさとご飯を食べて離脱するのである。
だが先客がいた。
「珍しいなこんな時間に起きてるなんて。夢結」
ちなみに今は午前5時である。
「たまたまよ。」
と、食べ終わったのか紅茶を飲んでいた。隣に座り、ご飯と味噌汁を食べる。
「久しぶりだが美味いな。」
「今日はどうするのかしら?」
「うーんこの後午前中は何もないから午後から工廠科に獲物を取りに行くが?」
「そう…」
食べ終わったので食器を片付け寮に戻る。制服を脱ぎベッドに潜り込む。
暫くしてドアがノックされた。
コンコン
「開いてるぞ〜」
「失礼するわ。」
これには動揺を隠せない。
「ちょ!?おま!?」
夢結は、構わず入ってくる。
「寝間着借りるわね。」
脱ぎ始めたので反対側を見る。
ジィ…シュルシュル…パサ
と着替え終わり百之助の入っていた布団に入ってきた。
「何しに来た?」
「夜這い?」
「今朝だし、まだ学生だぞ?」
「抱きしめて欲しいの。駄目?」
懇願されると破壊力抜群である。
「はぁ…分かった…俺の負けだ。」
抱きしめると異変に気付いた。具体的には柔らかいものが当たっていた。
「まて…ブラ付けてないだろ。」
「邪魔だもの。」
「お前な…欲情したらどうする気だ?俺の場合自制するの難しいんだぞ…」
「責任を取ってくれるのでしょう?それに最近血を摂取して無いでしょう?」
「そうだが…」
夢結がうなじを見せる。
「ほら。」
「分かったよ…完敗だ。」
すると百之助に変化が起きた。目が黒から青くなり黒い髪も白くなり、犬歯が牙に変わった。そして夢結の首筋に噛み付いた。
「あっ…う…」
百之助は暫く夢結の血を吸った後、元の黒髪と黒い目に戻し牙が犬歯になったところで夢結の首筋を魔術を使って治した。
「大丈夫か?」
「気にしなくて良いわ」
「そうかよ…」
今の行為について話しておくと、彼は吸血鬼であるので血を摂取しなくてはならないのだ。
「たく…あの婆さん吸血鬼の力を押し付けやがって…」
「まぁ…良いじゃない、困ってないでしょう?」
「まあな…」
「ふふふ」
夢結が百之助に口付けた。
「やっと笑ったな…そっちの方が良いぜ?」
「ごめんなさい…甲州撤退戦の後、ずっと笑えなかったの…だからいま驚いているのだけれど…」
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