プロローグ
「スピリット!エボリューション!!」
拓也が光に包まれる。その現象にざわめく少女たち。光の中では、拓也がスピリットを纏っていく。
顔に。
腕に。
体に。
足に。
拓也の身体にスピリットが合わさる。
そして、
光が消えたとき、
この仮想世界に、
伝説の闘士が、
降臨した。
「アグニモン!!」
光の中から現れたのは、拓也とは全く違った姿をしていた。赤き鎧に身を包みし、豪勇なるその姿。その光景に男は
「何んだと!?人間がデジモンに進化しただと!?」
信じられないという顔で声を上げる。
「かっ・・・・かっこいい・・・・。」
目の前の光景に驚く少女。
「あれは・・・・伝説の十闘士の一人・・・・炎のアグニモンだ!」
見ていた野次馬の一人が興奮したように声を上げる。
そして話は数日前に遡る。
「って、どこだここ!?」
「始まりの街?」
「中央広場だ!」
集まったプレイヤーたちは周りを見渡す。間違いない。ここは始まりの街にある中央広場だ。
(なぜ、ここに?)
そんな疑問を浮かべ、今の状況が理解できずに困惑する。
「どうなっているの!?」
「ログアウトできるのか?」
「早く出せよ!」
次第に苛立ちの声が広がり始める。すると
「おい!上を見ろ!」
反射的に上空を見上げた。そこでは異様なものが出現していた。深紅の市松模様に染め上げられ
〈Warning!〉〈System Announcement〉の文字。
やがて、空の文字から赤い液体がどろどろと流れ出し、それは人の形を形成していく。出来上がったそれは身の丈が二メートルはあろうという巨大な巨人。ローブを纏い、深く引き下げられたフードの下は暗闇で確認できない。呆然としているプレイヤーたちに声がした。
「覚悟せよ!!」
「???」
「お前たちを野放しにし過ぎてしまった。最早見逃すことはできない。」
「野放し?どういうことだ?」
「ここはデジタルワールド、デジモンたちの生まれ故郷である。そして彼らだけの世界である。人間は愚かにも許されていない領域に踏み込んでしまった。」
僅かな残響を残すと、フードの先端からどろどろしたものを流しながら、深紅のローブが上昇してく。そして
シュン
消え去った。
「ウソだろ!?」
「ふざけるな!出せ!ここから出せよ!」
「嫌ぁあ!帰して!帰してよぉぉぉぉおお!」
はじまりの街に様々な感情が渦巻く。
ドーン!!
すると近くで大きな爆発音がする。
「きゃあ!」
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