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「・・・・さん・・・・・たく・・・・さん・・・・」
「拓也さん!」
「えっ?」
「どうしたんですか?何か気になることでも?」
「いや、なんでもない。気にするな。」
明らかに挙動不審な拓也。そんな彼をシリカはジト目で睨む。
「もしかして、ランさんの事考えてました?」
ドキッ
「///そ、そんなわけないだろ!////」
「そうなんですね。ああ、ランさんって美人ですもんね~、拓也さんって年上好きなんですか、そーなんだー、ふーん?」
「あのな・・・・・・」
「ふぅ・・・・・・」
拓也は寝室に戻るとベットに寝っ転がる。そしてボンヤリと天井を眺める。
「人間とデジモンの共存か・・・・・・」
ランの言葉を頭の中で繰り返す。以前自分が思い描いていた夢。だがこの戦乱の最中、それは幻だと自分に言い聞かせ、心の奥底に封印していた。
「・・・・・・・・・・。」
拓也はランの姿を思い出す。彼女はどうなんだろう?彼女も自分と同じ気持ちなのだろうか?もしそうなら、一緒に・・・・
「アグニモン!!」
「!?」
名前を呼ばれ、拓也は我に帰る。良く見ると部屋の窓が開いていた。そして
「随分、あの家畜の事を気にしているようだね?もしかして餌付けでもされたの?」
目の前には緑色のプロテクターを纏い、同色のブーツを履いた小さな白熊のような獣人型デジモンが立っていた。彼は、チャックモン。拓也と同じ伝説の十闘士の力を宿した、氷の能力を持つデジモン。
「・・・・・そんなわけないだろう?」
拓也は興味ないと言わんばかりの態度を取る。
「まあ、いいけど・・・・。それよりあのシリカっていう人間のデジコード・・・。僕が貰っていい?」
「???」
「君はアイツを『思い出の丘』に連れて来て!」
「今じゃダメなのか?」
「ここには他にも人間がいるからね。逃げられる可能性がある。」
「お前って、意外に冷静なんだな・・・。」
その頃、隣の部屋では・・・・・・
「もう拓也さんったら・・・・・・・」
自分の寝室に戻ったシリカは、下着姿でベッドの上に寝転がっていた。彼女の頭の中に浮かぶのは拓也。今まで接してきた男の人と違う。今までの男子たちは自分という個を見ずに、可愛いというステータスだけを見ていた。でも彼は違う。自分自身、シリカという存在を見てくれているように感じた。今までになかった人。もっと話したい。もっと一緒にいたい。
「・・・・・・・・・・・・・。」
彼はランの事が好きなのだろうか?もしそうなら、私から離れて行っちゃうのかな?そんな不安が彼女を襲う。
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