ハーメルン
ハリーポッターと代行者
ポリジュース薬

決闘クラブはホグワーツに何か好影響を与えたのだろうか。ハリーに向けられる疑惑の目が強まり、ハリーの神経は緊張しっぱなしだ。口数が減り、ベッドの上で急に頭をかきむしる。イライラが止まらないハリーを見かねて、ハーマイオニーが提案した。

「そんなに気になるなら、ジャスティンに直接説明すればいいじゃない。」

何度か思案していたハリーが談話室を駆け抜けたころ、お互いにチェスをしていたロンと士堂はハーマイオニーを見つめる。

「何よ、あのままじゃ私たちまで変になっちゃう。」
「いやさ、とがめているわけじゃないけど。」
「うん、僕たちハリーがちゃんと説明できるか心配で言い出せなくってさ。」

士堂のナイトがマスを移動するのを眺めながら、ハーマイオニーは複雑な顔をしていた。

「そうね。でもハリーが言わなくちゃいけないことかもしれない。私達が何言っても聞いてくれなくなってきたものね。」
「ハリーが言ってもわからないけどさ。一理あるかな。」

溜息を同時についた時だ。非常に通る声で、どこからか声が聞こえてきた。続いて扉が勢いよく空いた音と、悲鳴が聞こえてくる。3人の体が飛び跳ねるように反応して、談話室を飛び出た。ロンの大事なチェスが床にぶちまけられるのも無視して、階段を駆け下りた。
騒ぎの場所にたどり着くと、そこは悲惨な状況だ。
ジャスティンが天井を見上げたまま、恐怖の顔で石化している。そして天井はもっと悲惨だ。
「ほとんど首なしニック」が恐怖のまま石化している。普段は透明な真珠色で奥が見えるのに、今は黒く透けて壁紙すら判別できない。

「襲われた、襲われた! 生きてる? 死んでる? 関係ない! みーんーな皆、おーそーわーレーター!」
「♪おー、ポッター、嫌な奴、嫌な奴― お前はなにした、お前は生徒を皆殺し お前はそれが大愉快♪」

ビーブズが大声で歌いだす。最初に聞こえた声はビーブズだったのだ。この騒ぎでうろたえる生徒が面白くてたまらない彼の歌は、ショックで静かな廊下では嫌によく聞こえた。
ジャスティンたちを検分するマクゴナガル先生が、我慢できないといった顔で一喝する。

「お黙りなさい、ピーブズ。」

ハリーにあっかんべーをしてから帰るビーブズは、文字どおり壁に消えていった。「ほとんど首なしニック」は奇妙な方法で運ばれる。マクゴナガル先生が作り出したうちわであおられながら、ホバークラフトのように空中を移動していく。死んでから与えられた移動の自由が、こんな形で奪われるとは。普段なら爆笑物のはずなのに、今は一つも笑える気がしない。
壁に張り付いて呆然とするハリーを抱きしめながら、マクゴナガル先生がどこかに消える。


そのころ、談話室で顔を寄せ合って3人は相談をしていた。今日起きたことは、それまでの前提自体を大きく変えるにふさわしい、重大な出来事だった。

「いい、まずは今日起きたことを整理するわ。マグル生まれのジャスティンと、ほとんど首なしニックが石化した。」
「さっき見たんだが近くの窓から蜘蛛が大量に移動していた。静かな時カサカサ言っていたから確かだ。」
「それは僕もわかった。どうしてあんなのがこんな時に…」

ロンがわなわな震えていると、談話室の窓の止まり木にフギンが止まった。窓を開けると口に手紙を、脚に小さな布袋を掴んでいる。荷物を受け取ってから、晩御飯の余り物の湯卵とビーフステーキを放った。器用に嘴で捕まえると、止まり木で御馳走にありつき始める。

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