雷返し
霊夢は一心へと走りだし、強烈な飛び蹴りをくらわせる。
一心は不死斬りで防ぐも、中々の威力に一歩後ろに下がる。
「...」
「はぁっ!!」
霊夢はお払い棒と蹴りを交互に繰り出し、一心に攻撃させる機会を与えない。
不死斬りを振るおうにもお払い棒で防がれ、十文字槍を使おうにも攻撃が激しすぎる。
一心は霊夢の猛攻に押されていく。
すると一心の足は何かを踏んだ。
石でも木の枝でもない。
すると霊夢は一心から離れ距離を取る。
「!」
「神技『八方鬼縛陣』!」
一心の足元には、札が八角形になるよう地面に配置されていた。
そして札が光を放ち、八角形の巨大な光る柱を生み出した。
「ぬぅぉぉおあ!!」
一心はその光る柱に触れてしまい、大きな痛みと衝撃が走る。
直ぐ様柱から離れるが、距離をとった先の地面にも札が置いてあった。
「くっ!」
再び同じような光る柱が生み出され、一心はくらいつつも脱出。
「ぬぅぅ...いつの間にこれ程の罠を...」
一心は辺りを見渡すと、至るところに札が地面に配置されていりことに気づく。
「...姿を消した時に貼ったか」
一心の予想は当たっていた。
先程霊夢が月隠の御霊降ろしをして姿を消した時に、辺りに札を配置していたのだ。
「カカカッ...やるではないか」
一心は霊夢の方を振り向く。
既に辺りには大雨が降りだしており、まるで台風が来ているような天候であった。
「...八雲が申していた事は嘘ではなかったな」
「...紫が?」
「わしは博麗には勝てぬ..と宣言されたわ」
「...ならもう諦めるの?」
「カカカッ!!むしろ逆じゃ!」
一心は不死斬りと十文字槍を構える。
「魂魄、レミリア...ここに来てから二人の強者と刃を交えたが...お主が一番わしの血を滾らせる」
「.....」
「さぁ再び刃を交えようぞ...この昂り、わしを倒す以外収まりはせぬわ!」
一心は霊夢目掛けて走り出す。
「ならさっさと倒して終わりにするわよ!」
霊夢も一心へ走り出した。
「かぁぁ!」
「はぁぁぁ!」
霊夢のお払い棒と、一心の不死斬りがぶつかった。
その衝撃は雨を一時的に吹き飛ばし、風をも止ませた。
何十合と二人の武器は交え、二人の勝負は今まで以上に白熱した。
一心の兜は弾き飛ばされ、霊夢の袖は斬られてボロボロになっている。
ようやく二人が距離を取ると、お互いようやく息を深く吸った。
「はぁ...はぁ...」
「ぜぇ...ぜぇ...」
(これ程女で強いのは初めてじゃ...流石のわしも息が乱れてきたか...)
(このお爺ちゃん何なのよ...!修行とはいえ私の攻撃をここまで受けてまだ立つなんて...人間じゃないらしいけどそこらの妖怪よりよっぽど化物ね..)
二人の間には、雨と風、雷の轟音のみ響いていた。
そして霊夢の体を包んでいた赤黒い気がようやく晴れる。
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