ハーメルン
竜の群を束ねる女王がドラゴンより弱いとでも思ったか
世界征服
ナザリック地下大墳墓――
アインズ・ウール・ゴウンはギルド拠点へと戻り、カルネ村での出会いを皆に語っていた。
「――というわけだ。私は竜王国女王ドラウディロンの招きに応じ、かの国を訪れようと思う。これについて皆の意見を聞きたい。賛成、反対、疑問なんでもいいぞ」
「ご質問よろしいでしょうか、アインズ様」
その問いかけに一番手で手を上げたのは当然というべきか、ナザリック最高の叡智を誇り、防衛時の指揮官を務める階層守護者――悪魔デミウルゴスである。
「うむ。遠慮なく聞くがいい、デミウルゴスよ」
「ありがとうございます。ではまず、その者たちの力量を確認したいと考えます。アインズ様の見立てでは、竜女王たちはかなりの実力者なのですね?」
「そうだ。だが、私よりはセバスの方がよく分かるだろう。お前の目には連中がどの程度の腕前に映った?」
「私如きにアインズ様以上の目利きが出来るなど滅相もありませんが、僭越ながら見解を述べさせていただきます」
セバスが姿勢よく礼をすると、皆に向き直って説明を始める。
「リーダーであるドラウディロン殿を含む6名ですが、強さは全員が戦闘メイド――プレアデス以上。戦っているところを見ていないので上限までは不明ですが、中には階層守護者の方々に比肩する者もいるかもしれません」
ざわっ、と守護者一同やプレアデスたちが騒ぎ出す。
「人間風情がわたしたちと同等? 信じられないでありんすね」
階層守護者で最強とされる少女――吸血鬼シャルティア・ブラッドフォールンが不満気にセバスを睨む。
「シャルティアよ。彼女たちは半数以上が人間以外の種族だ。それに人間にも強者はいる。忘れたのか? 過去にナザリックに侵攻してきた者たちを」
「っ! もちろん忘れてはおりません。敗北時の記憶はないのですが、守護者という大任を仰せつかっておきながら、役目を果たせなかった失態……その事実を忘れることなどありません!」
ユグドラシル時代にあった傭兵NPCなども合わせて1500人というプレイヤーによる大侵攻。第八階層で撃退することに成功はしたが、シャルティア含む階層守護者たちは戦死している。
「過去のことは今後の行動に活かせばよい。つまり、人間という種族を甘く見るなということだ。彼女らの内、2人は人間だ。それはこの世界でもユグドラシルと同様に人間の強者がいるという証。皆も分かったな?」
「はっ!」
全員が深く首を垂れる。絶対支配者の言葉を疑うこと、ましてや逆らうなどありえない。
いうまでもなく竜女王のドリームチームはこの世界でも例外中の例外であり、各国トップクラスの人間でも守護者どころかセバスを除くプレアデスに敵う者すらそうはいない。
「カルネ村の村長に聞いた話ではドラウディロンたちと同格のアダマンタイト級冒険者は各国に1~2チームほど存在するらしい。つまり、守護者級の存在が王国や帝国にも10人以上いる計算だ。余計な騒ぎを起こして、これらと敵対する愚は避けるべきだろう」
冒険者のランクは同格でも、強さはまったく違うのだが、辺境の村長にそこまで分かれというのは酷である。今のところ情報源がカルネ村の住人と竜女王たちしかいないため、各国の戦力が過剰に見積もられている。
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