004:レベルアップ。
「フハハハハハ!! 我は今帰ったぞ!!」
「わぁー! 魔王様帰ってきたー!!」
「マオにーちゃん、おかえりー!」
「まおうしゃま、おかえりなさしゃい」
「フハハハハハ!! 皆の者!! 出迎えご苦労!!」
「ご苦労!」
「ごくろうさまです!!」
「ごくろー!!」
俺がその扉を開けると無数の子供の声が飛び交った。とてもうるさい。
でもまあ、嫌いじゃない。
俺の半分もない子供たちをしゃがんでわしゃわしゃと撫でてやる。
するとまたキャハハと笑い出す。
うん、でも魔王はやめてくれよ……ってもう今更か。
ここが俺の家。
いわゆる孤児院ってやつ。
別にこれに関しては自分が不幸だとか思ったことは無い。
むしろ恵まれてんじゃねーの? とすら思ってる。
だってぶっちゃけ嫌いじゃねーもんなー、こいつらのこと。
「おかえりーマオ〜。相変わらずアンタは騒がしい奴だね〜」
奥の扉が開く音ともに、タバコを片手にした何となく元ヤン感のある女性が現れた。
初めて彼女を見た人は誤解するだろう。
だけど彼女は元プロヒーローであり、この孤児院の院長である神楽坂さんだ。
「おお、我が参謀の神楽坂ではないか!! 今帰ったぞ!!」
「誰が参謀だ、誰が」
俺の口がまたしても失礼な言葉を発するが、いつもの事なので適当に流される。
てかなんで神楽坂さんが参謀なんだよ。
訳分かんねーマジでこの個性。
俺は物心着いた頃からここにいるから、むしろ母上ーとかになるんじゃねーの?
まあどうでもいいか。
……てか今日は少しだけ疲れた。
なんていうか……精神的に。
「ご飯はできてるよ。食べちまいな」
「フハハハハハ!! ご苦労だな我が参謀神楽坂!! 下の者にやらせればいいものをお前も物好きだな」
「はいはい、ウチに下の者なんて雇う金はありませんよ〜」
……もう、本当意味わからんことばっか言ってすんません。
ほんとにすんません。
それから俺はご飯を食べ、風呂に入る。
疲れてるからそのまま自室へと向かった。
ふぅー。
ガチャりと自室のドアを閉めた。
───同時に、俺の纏っていたローブとマントが消えていく。
どういう理屈か知らんけど、自室で1人になった瞬間このローブとマント消えんのよねー。
相変わらずの謎個性。
俺は部屋着に着替え、ベッドに横になった。
そして目を瞑る。
すると自然と今日の出来事が蘇ってくる。
ヴィランを気絶させたあとはプロヒーローに連絡して、対応してもらった。
当たり前だけどすっごい怒られた。
ほんと申し訳ありませんでした。
反省してるんです。
でもこの個性のせいで……フハハハハハ!! 我に説教とはいい度胸をしている!! 貴様!! 名はなんと言う? みたいなことしか言えず申し訳ありません。
あの場に俺の個性を理解してくれている響香がいなかったら、あの3倍は説教をくらってたと思う。
いやマジで。
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