009:魔王のいるクラス。
「ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいって!!!」
「く、謀反か!! 我が眷属響香よ!! な、何が、何が気に食わなかったと言うのだー!!」
俺は今、響香に絞め殺されようとしていた。
原因は───空を飛んでいるから。
今日は雄英高校登校初日。
『友達と行った方がいいっしょ、心強いし』と言って響香が俺を誘ってくれた。
神すぎる。
相変わらずなんていい子なのマジで。
そこまでは良かったんだけど、響香が一緒に空を飛ぶという約束が果たされていないことに気づいてしまった。
それが間違いだった。
雄英高校の正門につくまで延々と首を締め続けられる羽目になってしまったのだから。
「死ぬかと思った……」
こっちのセリフじゃい。
響香の瞳に光がない。
あれ、一応息できるようにとか考えてゆっくり飛んだんだけどなー。
よっぽど怖かったんかね。
「でも、楽しかったからまた背中乗せてよ」
「……我をして理解不能なことを言うとはな」
あんな死んだ目してたのに、次の瞬間にはケロッとしてそんなことを言ってきた響香。
ジェットコースターとか好きなタイプ……ということだろうか。
まあいいわ。
また暇なとき響香を乗せて飛べばいい。
それから俺たちは、広すぎる校舎に迷いながらも進み、なんとか1-Aと書かれた教室に辿り着いた。
すんごーいでかいデカい扉。
「ちょーデカイね、この扉」
同じこと思ってたわ。
やっぱ思うよねーこれは。
「我も同じことを考えていたぞ、響香よ」
さて、こんなとこつっ立ってても仕方ないし入り───
「机に足をかけるな! 雄英の先輩方や机の制作者方に申し訳ないと思わないか!?」
「思わねーよ、てめー! どこ中だよ端役が!」
扉越しに怒鳴り声が聞こえてきた。
うわー、入りづら。
まあしゃーないか。
俺はその巨大な扉に手をかけ、ゆっくりと開けた。
そして、いろんな視線が俺に突き刺さる。
慣れてるけどな!! そういうの!!
とりあえず早く席に着こー、って思ってたんだが───
「む、君は!」
なんか凄い勢いで俺のところに向かってくる奴がいた。
眼鏡をかけたいかにもクソ真面目そうな奴。
動きがすっごいカクカクしてる。
「やはり! 試験会場が同じだった魔王を名乗っていた男!」
……あの、公開処刑やめてもらっていいですか?
「……誰だ貴様は?」
やべ、ちょっと不機嫌になったらすぐ言葉が強くなるわ。
気をつけないと。
てか貴様って……。
「き、貴様!? ぼ……俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ。よろしく頼む。ああ、そうだ。席は出席番号順になっているぞ」
「そうか、ご苦労」
お、サンキューって言いたかったんです。
ほんとすんません。
それから俺は今度こそ席に着こうと思って歩き出した。
だけど───
「ま、待ってくれ。君の名前はなんて言うんだ?」
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