ハーメルン
仮面ライダーメレフ
第17解「我に迫る、我の時間」

「あのゾンビルはお前が造り出したんだな」
「その通りだ。あの程度でくたばる様では我の力を扱うなど夢のまた夢に等しい」
「…… 俺を呼び出した理由は? 敢えてエイルに気付かせる為に気配を強めたのだろう?」
「そうだ。用というのは───」
「恭也様ァァァァァァ!!! どちらにいらっしゃいますかぁぁぁぁぁぁぁ!!! 私がついておりますご安心くださいッッッ!!!」

 ンードゥが恭也に話をしようとした瞬間、エイルが彼を探し雄叫びを上げている。とてもありがたい事なのだが、正直今はやめてほしい。

「…… あ、ンードゥ。明かりが欲しいんだが…」
「光はあまり好かないのだが… やむを得ん」

 すると、一瞬にして辺りに光が灯る。どうやらそこは書斎の様で周りには本棚がズラリとあり、その中心にンードゥが椅子に腰掛けていた。
 エイルは恭也を発見するや否や飛び掛かって来て、その勢いに思わず倒れてしまう。

「ご無事でしたか恭也様!!?」
「無事だ。だから離れてくれ…… 奴と話をしたい」
「奴…?」

 恭也が指差す方向にはンードゥがいた。エイルは無言で立ち上がり、目をキッとさせて腕を組む。

「久しぶりね、ンードゥ」
「久しいなエイル。我の見ない間に…… どうなっている?」

 あのンードゥすら困惑しているようだ。前王の時とはまた違うのだろうか。

「それより恭也様を呼び出して何のつもりかしら? まさか大人しく封印されるつもりではないでしょう」
「当たり前だ。別の件でお前たちをここに呼んだ」
「それは?」
「王の覚醒が近いことについてだ」

 その言葉にエイルの顔が青ざめた。やはりその件について触れられるのは都合が悪いらしい。
 恭也は立ち上がりエイルの横に着いて、代わりに話を進める。

「皆もわかっているんだろう? 俺の力が既に何割増しになっているかを…… ンードゥ。俺の力は今どれ程なんだ?」
「7割だ。お前の力は既に7割を越えようとしている」

 この短い時間の中で既にそこまで喰われているようだ。身体に異常がない分、実感が湧きにくいが、着実に恭也の生命は終わりに近づいている。

「俺は…… 死ぬのか?」
「死ぬ」
「そうか。聞かない様にしていたが、やはりそうなる運命か……」

 恭也はエイルの方を見ると、俯いて身体を震わせているエイルが見えた。そんな彼女に何も言わずに自分の方へと寄せる。

「恭也様…?」
「安心しろ。恐怖はない。お前を恨むつもりもない。俺は使命を全うするだけだからな」

 それから恭也はンードゥに聞く。

「あるんだろう? 助かる方法が」
「ほう…」
「俺をここに呼び出したのは、俺の王としての覚悟を見る為。その覚悟を見たお前は次に何をする?」
「王よ、お前に試練を与える」
「それは?」
「我の力を使いこなせ。それが死を回避する方法だ────」


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 ンードゥは言う。先代も最後まで自分の力を使う事は容易ではなかった。だから死んでしまった。真にデモンティアの力を全て扱えれば、魂を喰らわれることなく、デモンティアの力をより強く、より優れた使い方ができる様になると。

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