期末試験と金縛り呪文と私
その日終わらせないといけない宿題を片付け、私たちはハグリッドの小屋を訪ねていた。
ハグリッドは押し掛けるような形で来た私たちに気を悪くすることなく、紅茶とクッキーを振舞ってくれる。
「それで、何か聞きたいんだったな?」
ハリーは紅茶を一口飲むと、単刀直入に聞いた。
「フラッフィー以外に賢者の石を守っているものは何なのかをハグリッドに聞きたくて」
「教えることはできん。まず、俺が知らんからな。それに、そうでなくともお前さんらは知りすぎとる。そもそもフラッフィーのことも一体どこで知ったのやら……」
いや、流石に賢者の石の守りに関して何も知らないということはないだろう。
私が口を開きかけると、ハーマイオニーが任せてくれと言わんばかりに目配せしてきた。
どうやら、何か考えがあるらしい。
ここは彼女に任せるとしよう。
「知らないなんて嘘。ここで起きていることで貴方の知らないことなんてあるはずないもの」
ハグリッドの口元が少し動く。
なるほど、ハーマイオニーはハグリッドをおだて倒す作戦のようだ。
やり方としてはなんのひねりもないが、ハグリッドには非常に有効だろう。
「私たち、石が盗まれないように誰がどうやって守りを固めたのか知りたいだけなのよ。ダンブルドアがハグリッド以外に信頼して助けを借りるのは誰なのかってね」
「まあ、それぐらいなら……」
ハグリッドは気を良くして話し出す。
「俺のほかにもホグワーツにいる先生方は大体力を貸しとる。スプラウト先生に、フリットウィック先生に、マクゴナガル先生だろ? それからクィレル先生もそうだな。勿論、ダンブルドア先生も手を加えとる。……待てよ? 誰か忘れとるな。ああそうだ。スネイプ先生もそうだ」
「スネイプもだって?」
ハリーは驚いた様子で聞き返した。
「ああ、そうだとも。まさか、まだスネイプを疑っとるのか? スネイプは石を守る手助けをしとるんだ。盗むはずなかろう」
それを聞いてハリーはいっそう不安そうな顔をする。
もしスネイプが石の守りに関わっているのだとしたら、どのような仕掛けがなされているかスネイプは全て知ることができるということだ。
つまりクィレルの仕掛け以外はもうすでに対策ができているのかもしれない。
だとしたら、スネイプがクィレルを脅していたのにも説明が付く。
「フラッフィーを大人しくさせれるのはハグリッドだけだよね? ほかの先生にも話してないよね?」
ハリーは心配そうに聞く。
「勿論だとも、俺とダンブルドア以外は知らん」
ハグリッドがそう言うと、ハリーはほっとしたようにため息をついた。
だが、安心するにはまだ早い。
フラッフィーがケルベロスであると分かれば、フラッフィーは簡単に無力化することができる。
まだ試してはいないが、伝承通りならば音楽を聞かせれば眠ってしまうはずだ。
だがまあ、ここでそれを指摘して無駄にハリーの不安を煽ることもないだろう。
私は紅茶を一口飲むと、話題を切り替えた。
「そういえば、さっき図書館にいたときは凄い機嫌が悪そうだったけど、何かあったの?」
私がそう聞くと、ハグリッドは頭を掻きながら話し出す。
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