ハーメルン
テンプレバスター!ー異世界転生? 悪役令嬢? 聖女召喚? もう慣れた。クラス転移も俺(私)がどうにかして見せます!
第5話 樹ークラス転移において、最も勇者らしいのは主人公ではない。
「皆さまお目覚めのようですね、ようこそいらっしゃいました。勇者さま方!」
俺らが田中との会議を終えた頃、クラスメイトみんなの目も覚めていた。
そこに現れたのは、シンプルな白を基調とした青のラインの入ったドレスを着た、いかにもお姫様な格好をした銀髪の女の子。
17〜20歳くらいか?
中学生の俺たちよりは年上だ。
「あー、んー、あんたが、ココの責任者か?」
矢沢先生がお姫様(確定)の前に出て対話を試みる。
今のところ、先生も主人公候補候補なのだ。
クラス転移において、他の個性が違う者。
生徒ではなく、先生というポジションは、なろうに限らず、物語の主人公として資質の一つなのだ。
「はい。わたしはミシェル・ルルディア。ルルディア王国の第一王女です。皆様をお招きしたのも、わたくしが行った召喚魔術です。」
「しょうかんまじゅつ」
ポカーンと口を開ける矢沢先生。
「突然勇者様方をお招きしたこと、深くお詫び申し上げます。」
深々と頭を下げるミシェル。
「第一王女が召喚を一人で行ったってことは、まあ、相当な実力者ではあるはずよね?」
「独断か?」
「わからないにゃ。情報が不足しているにゃ。」
俺たちがこそこそと悪巧みをしている間に、どうやら王様との謁見を行って欲しいとのお姫様の言葉に従い、クラスメイトたちはお姫様と矢沢先生の後に続いて、召喚の間? らしき場所から出ることになった。
どうやらお城の広間みたいなところで召喚されたんだな。
つまりだ、このお城のこの広間は、召喚をするためだけに設計してある。
確信犯だ。
………
……
…
「田中。クラスメイトの中で、確実に味方に引き入れておきたい人物は誰だ?」
「味方にゃ? それは間違いなく葉隠妙子にゃ」
「タエコちゃんって、あの年寄りみたいな口調のあの女の子?」
葉隠妙子は、個性は揃いのうちのクラスでも、何を考えているのかいまいちよくわからない人物。
いや、まあみんなそうなんだけどさ。
葉隠は、焦げ茶色の頭の上にクヌギの葉っぱを乗せて、瓢箪をまるでアクセサリーかのように腰に下げている女の子だ。
「妙子にゃんは情報屋さんにゃ。いつもどこからか仕入れてきた情報をつかって、お金儲けとかよくしているにゃん。腹黒タヌキにゃん」
「なるほど。情報屋か。」
移動をしながらポケットからスマホを取り出して、黒い画面に映った葉隠妙子の様子を観察してみる
後方で、目をキョロキョロと動かし、窓や曲がり角を見てはメモ帳らしきものに何やら書き込んでいる。
そして、ポケットから人型の紙を取り出すと、すれ違う侍女や俺たちを警護? 警戒? する騎士の目を盗んで装飾品の陰やツボの中にふわりと投げ入れていた。
「明らかに陰陽系の異能をもってそうなムーブなんだけど」
「事態には困惑しつつも、私たちと同じようにこの世界の脱出のためにあらゆることを試しているのかもね」
「ならば味方につけるにゃん! 妙子にゃーん!」
コミュ力おばけの田中は早速、葉隠妙子へのコンタクトを図る。
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