ハーメルン
変態ばかりの学園ものエロゲーに転生したからヒロイン全員清楚に調教する
7話 急転直下
ゲームやアニメにおいて、現実世界と寸分変わらない世界観が舞台だったとしても、ありえない設定や描写は付き物だ。
それはフィクションとして物語を盛り上げるためには必要不可欠なエッセンスであり、それがあるから現実を忘れて楽しめるエンターテイメントとして成り立つわけであるが、仮にそれが現実となったらどうだろうか。
例えば髪色や瞳の色。
前世の記憶を取り戻すまで全く何にも疑問に思わなかったが、そもそも純日本人の会長が銀髪碧眼というのは、明らかにゲームの設定があらゆる法則に優先して、世界に反映されている証明だ。
つまりは、神宮寺聖歌という人間は、その髪色が設定通り反映されている以上、ゲーム通りの
性能
(
スペック
)
を持つということに他ならない。
ゲームにおいて序盤で早々に用務員の餌食になり、R18展開に突入するため、そのスペックが発揮されることは殆ど無かったが、ゲームの物語に直接的に関係しないからとゲームの制作陣が盛り過ぎたのか、そのスペックはチート級、運動能力・頭脳・家柄・容姿、全てにおいて秀でた完全無欠の才女だ。
つまり。
神宮寺聖歌は露出性癖こそあるが、それ以外においてほぼ完璧な性能を持つ超人。
故に彼女は、下着姿をブランケットで隠して、
1年生の男子
(
ぼく
)
と二人きりでいたという状況を親友に見られたとて、それを隠し通すべく一瞬にして頭をフル回転させ、最適解を導き出したのだろう。
その行動は早かった。
「ふもっ!?」
体に巻いていたブランケットを投げる。投げ方は既にぼくのを見ている。彼女であれば、それだけでコントロールは完璧、狙い通りにブランケットは二階堂薫先輩の顔面で広がり、覆い隠した。
そして、それを実行したことがあるが故に、ぼくも会長の意図に気が付き、咄嗟に反応することが出来た。
二階堂先輩の顔面を覆ったそれを取られる前に、正面に陣取り、その視界を遮ったのだ。
見事な機転、完璧な連携、それを持ってして、稼げた時間は十秒にも満たない。
「何をする聖……歌?」
二階堂先輩は煩わしそうにブランケットを取り払い、目の前のぼくをキッと一瞬睨むと、視線を会長に向ける。そこにいたのは――
「ごめんなさい、急に入ってくるものだから驚いてしまって。何かあったのですか、薫?」
――制服をきっちりと着こなし、小首を傾げている会長だった。
◆
ぼくと会長が並んで座り、テーブルを挟んだ向かい側に生徒会副会長、二階堂薫先輩が座った。その目にはまだ疑いの色が色濃くあり、出された紅茶とマカロンにも口を付けずに、腕を組んでじっとこっちを見ている。
「私の目には聖歌が下着姿でそこの男に襲われているように見えたのだが……」
困惑した様子の二階堂先輩に心底同情しつつ、ここで頷いては、ぼくは無実の罪で人生終了となるため、スルーする。そもそも、襲ってないし、むしろぼくが襲われてたし、この状況で最大の被害者はぼくだと切実に訴えたい。
「薫。学校、それも私達の生徒会室でそんな不埒な事許すわけがないでしょう?」
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