襲撃
◇西暦20B7年 3月2日 南米 グリプス市
南米の某国に存在する都市グリプス。
かつてはジャジメント、オオガミグループと多少ではあるがNOZAKIグローバルの資本が入っているその町は近年、発展が著しい都市となっている。
それらの企業団体は女尊男卑者から見れば敵そのものだったのだが、南米は先進国と違いISそのものを保有している国と数が少ないことから、女尊男卑の風潮はあまり存在しない地域でもあった。
その為、この都市を女尊男卑の観点から睨む者はほんの極一部の勢力を除けば、全く居ないと言っても過言ではない。
しかし、そんな都市は現在、ある理由から女性至上主義者によって成り立つ武装勢力──ティターンズに目をつけられていた。
「ここが例の場所か」
ティターンズ幹部の一人であり、今回の作戦の指揮を執っている元亡国機業所属の女性──オータムは1つの施設を見ながらそう呟く。
彼女が見ている先の施設。
そこは彼女たちの敵対組織である(と一方的に見なしている)エゥーゴの施設であり、ティターンズ情報部が手に入れた報告によれば、ここでは戦闘用のMSが造られているとの事だった。
「たくっ、幾ら兵器が足りねえからって、他からわざわざ奪ってそれを使うなんて面倒くせぇ事を指示してくれるな」
そう、ティターンズに足りないもの。
それは兵器と人材だ。
一応、資金については各国のティターンズ支持者達からの出資(主に白騎士事件後に女性優遇制度によって高位の地位に着いた政財界の女性達。中には会社や国の税金を横領して出資している者も居る)によって十分すぎる額が揃っているものの、兵器についてはIS以外はあまり良いものは揃っていない。
少なくとも、学園都市なんかと真正面からやり合えば、こちらがゴミのように一蹴されてしまうであろうことは確実なほどの戦力しかなかった。
人材についてはもっと深刻であり、基本的にティターンズという組織は理念があれなので、女性はともかく男性からは例外を除けば徴収できないし、信頼もできない。
それでも豊富な資金力を背景にどうにか頑張って人手を集めたことによって数だけは集められていたが、質についてはお寒い限りだ。
その為、せめて兵器だけでも揃えようとしたのだが、ISこそ比較的揃ったものの、それ以外の兵器で学園都市に対抗できそうな兵器を作る組織は皆エゥーゴ側だった。
ならば、敵対組織であるエゥーゴから兵器を奪えば良いじゃないか。
そのような考えからこの作戦は立案されたのだ。
だが、敵の兵器を奪うというのはある意味普通に襲撃するよりもリスクのある行為であるため、オータムはそのような面倒なことはあまりしたくなかった。
しかし、スコールの命令となると無視するわけにもいかない。
なんとしても成果を持ち帰る必要がある。
「仕方ねぇ。じゃあ、1つおっ始めるとするか」
オータムはそう言いながら、自身が装着しているIS──アラクネⅡを起動した。
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