06. 想いの果てに
その後、スライヌマンさんとスライヌレディさんを倒したベール様は、塔の頂上にいるエスーシャさんの元に辿り着き、そのままエスーシャさんと一騎討ちを始めました。
私も少し遅れて駆けつけたのですが、グリーンハート様に手を出すなと言われたので待機していました。そのままグリーンハート様はエスーシャさんに完勝。流石は女神様です。
それに加え、エスーシャさんの儀式は失敗したようです。どうやら儀式の素材たるらん豚が百万匹ではなく九十九万九千九百九十八匹しかいなかったとのこと。これはあくまで推測ですが、ネプテューヌさんあたりが持ち去ったのだろうかと思われます。
ちなみに、エスーシャさんとイーシャさんの魂が一つの身体に同居することになった経緯とは、エスーシャさんが映画作りに失敗し死にかけているところに、イーシャさんが自らの身体にエスーシャのさんの魂を受け入れることで助けたからとのこと。確かに、映画作りに失敗すると死にかけるというのはゲイムギョウ界の常識ですからね。
ていうか今のエスーシャさんの身体は元々イーシャさんのものだったのですね。逆かと思ってました。
そして、ベール様はエスーシャさんの説得に成功し、和解することができました。エスーシャさんがこのような凶行に走ったのはイーシャさんの魂が限界を迎えているという『誤解』によるものだったのです。
エスーシャさん曰く「一つの身体には二つの魂が入るようにはできていない」ということでしたが、実を言うとそんなことはありません。エスーシャさんの身体の中のイーシャさんの魂の輪郭を見たところ、至って健康そのものでどこも悪くありませんでしたし。
その後、エスーシャさんは「こんなものがあるから私は道を間違えた」と私たちに黄金の頂の中枢の破壊を頼んで来ました。どうやら黄金の頂とは、世界改変により女神様から奪ったシェアエネルギーを貯めておくための施設だったらしいです。そして、黄金の頂の中枢を破壊した私たちは、九十九万九千九百九十八匹のらん豚たちを連れて黄金の頂を後にしました。
こうして、エスーシャさんという少女が、イーシャさんという少女を救うために起こした騒動は誰一人犠牲を出さずに終焉を迎えることができました。
ていうか世界改変のはじまりはG-1グランプリの決勝でエスーシャさんたちが乱入したことだったと思うんですよね。それに関して私は何も思うことがない言えば嘘になりますが、ベール様が赦したのならば私からもこれ以上何もありません。
さて、というわけでこれにてリーンボックス出張編も無事終了ということで……「ちょっ、ちょっと待ってくださいな!」
「はい? どうされましたベール様? 地の文に乱入してくるとは」
「どうされました、じゃありませんわ‼︎ 私とエスーシャの激闘、そして劇的な和解シーンがどうしてあらすじでカットされてますの⁉︎」
「と言われましても……原作『新次元ゲイムネプテューヌVⅡ』においては重要シーンであっても、二次創作『紫の星を紡ぐ銀糸N』においてはそのシーンはあまり重要ではないと言いますか……その件に関して私は何もしてませんし……」
「サラッととんでもないメタな台詞吐きましたわね……釈然としませんわ……」
「それに……人の感情のあれこれについては私にできることはほとんどありません。私にできることなんて……戦うことだけですから……」
「ギンガ……そんなことは……………って、それっぽいこと言って誤魔化そうとしないでくださいな‼︎」
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