超絶進化!! 叫べ僕らのエボリューション!!
レイキと俺のバトルが決まった一週間後、放課後の第三体育館の控え室。
そこで俺は、相棒であるサテライト・オベロンの最後の調整を行っていた。
もうすぐバトル開始の時刻だ……遂にこの時が来た。
マモコさんのソウルメイクアップと呼ばれる秘奥を使った一週間の修行は、俺を確かに強くしてくれた。
マモコさんの手の平を伝わって来るビリビリとした感覚が俺の中にある様々な可能性を心の中に映し出した。
その感覚を忘れない内にマモコさんとランナーバトルをする修行は、今まで俺が試してきたどんな鍛練方法よりも効果的な物だった。
だが……足りない。同じチームのメンバーとして、俺はレイキの戦う姿をこれまで間近で見てきた。アイツの実力は誰よりもよく知っている。
だからこそ理解出来てしまう、確かに強くなった俺のランナーとしての実力は、レイキに勝てる程の水準には達していない。
「トウヤ君、具合は悪くない? 本当に大丈夫?」
ヒカリが不安そうに俺に声をかけて来る。心底辛そうな表情は、俺なんかよりもよっぽど具合が悪そうに見えてしまう。
そんなヒカリを見ると、心配の感情と共にどこかおかしさを感じてしまう、自分よりも緊張している人を見るとかえって落ち着くというのは本当の事だった。
「大丈夫だよヒカリ、心配はいらないよ……見ていてくれ」
「うん、無理はしないでね? もしも怪我したら私が治すから……」
控室を後にして、バトルフィールドへと続く通路を歩む。
プラネット社が多額の支援をしているこの小学校はあらゆる施設が本格的で、この第三体育館も公式のバトルドームと遜色の無い造りになっている。
その途中で、ここ最近ですっかり見慣れた人物が壁にもたれかかっていた。
「フフッ、トウヤ君。いよいよ始まるわね、気分はどうかしら?」
「マモコさん……そうだな、少し緊張してるよ」
マモコさんは相変わらず堂々とした佇まいだ。不思議な力強さと自信に満ちたソウルを感じる。
マモコさんは凄いランナーだ。No.1ランナーであるトウカ様と互角……或いはそれ以上の力を持っているかもしれない。
そんな彼女が、俺の現在の実力を推し量れない筈がない。このままじゃレイキには勝てないであろう事が分かっているはずだ。
それなのにこの落ち着き様、一週間前にみんなの前で発言した時と一緒で俺の勝利を疑っていないかのような態度。
一体彼女にはどんな未来が見えているのだろう? バトルの先に待つものが分かっているとでも言うのだろうか?
「そしてこう思ってもいるのでしょう? 確かに強くなったけど、まだ冷泉君には敵わないって」
「……うん、その通りだよ」
やはりマモコさんもそれを理解している。それなら一体なにを考えているのだろう。
「そんなトウヤ君に今回の修行の最後の仕上げよ。これを受け取ってちょうだい」
「これは……ソウルストーン?」
マモコさんが手渡して来たのは、ビー玉程のサイズで黄金の輝きを放つ結晶の様な物体。
間違いない、ソウルストーンだ。一般には流通していない、ソウルギアのコアとなりうる唯一の物質。惑星の一族でも限られた者しかその産出地を知らない、神秘のベールに包まれた鉱石だ。
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