3.ネバーランドの日々
仲間の子たちに負けじとこっそり特訓した結果、ようやく俺も覇気のコツ的なものを掴みかけてきた時に仲間の1人から連絡が入ってきた。
どうやら俺に現地へと来てほしいとの事で、詳しく聞いてみると子供を保護したが追われているらしく、ネバーランドに連れて行こうとしたが知らない場所へ連れて行かれるのに抵抗があるということだった。
すぐにウエストブルーにある、とある島へと向かい仲間がやっている酒場へと顔を出すと、そこには小さな女の子が皿洗いをしていた。
仲間に話を聞いてみると、酒場で料理を盗んで逃げた子を捕まえたはいいが、お腹を空かせているようなのでご飯を食べさせた後に話を聞いた結果、親もおらず帰る場所もないという事。
そしてこの子はどうやら賞金首になっているらしく、海賊や山賊だけではなく金目当ての一般人からも狙われて逃げ続けていたらしい。
仲間が皿洗いをしていた子を呼び、席についたので俺は事情を聞いてみることにした。
「はじめまして、俺はピーターと呼ばれている。君の名前を教えてもらってもいいかな?」
「…ニコ・ロビン」
「ロビンちゃんか。いい名前だね。俺たちは君を捕まえたりしないから安心してくれていい。ただ、どうしてロビンちゃんが賞金を掛けられて追われているのか教えてもらってもいいかい?何か力になれることがあるかもしれない」
「…………」
何か訳があるようだな。だがこのまま放っておくという選択は俺にはない。
長い葛藤の末にロビンちゃんが話してくれたのは、住んでいた島がある日突然滅ぼされたこと。
何かしたのかと聞けば何もしておらず、歴史の研究をしていただけで住んでいた島が海軍に滅ぼされた上に生き残りだからと賞金首にされてしまっていたようだ。
そんな話を聞いて黙って放っておくなどできるはずもなく、ロビンちゃんにネバーランドで匿ったほうがいいと思い説明してみたが、なかなか信じてくれないのでこの酒場で働いているのは元ネバーランドの子だよと教えて説得を手伝ってもらった。
それでも自分は化け物なんだと自身の腕から更に別の腕を生やしてみせたニコ・ロビンちゃんだったが、俺も同じようなもんだと手から紙を生み出して鶴を折って見せた。
この頃には俺も能力を多少なりとも応用させることができていたので、手から紙が出てきて勝手に動いて鶴になるというのはなかなか見応えがあったようだ。
そしてどうやらそれを見て、共通点があるからか少しは心を開いてくれたロビンちゃんは同じ年の頃の子供たちがたくさんいるというネバーランドを見てみたいと一緒に行くことになった。
移動中の船の中で「わたしを捕まえたらお金もらえるのにどうして捕まえないの?みんなわたしを捕まえようとするよ?」と子供らしくない質問をされてしまった。
「お金が欲しいというのはみんな同じだろう。子供1人を捕まえて大金が手に入るなら捕まえようとするのも仕方ない事だと思う」
「…なら!」
「ロビンちゃん。酒場にいた俺の仲間は昔ね、親から1日にパン1カケラと冷たいスープしかもらえず毎日働かされていた。倒れても無理やり起こされて終わるまでは家に帰ることさえ禁止されていたんだ。そして俺も両親を山賊に殺されて、毎日山賊に殴られ蹴られていた。だからロビンちゃんを捕まえたりしないよ」
自分たちも子供の頃はひどい目に遭ってきたと伝えてみたが、やはりそれだけでは納得できないようだ。
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/4
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク