13話
控え室を抜けて出てきたのは物凄く開けた空間。
天井は高く、奥行きもかなり広い。比べるとしたら開会式をしたあのスタジアムコートと同じくらいの広さ。周りをぐるりと周りを見渡すと開会式の時ほどではないにしろそれなりの観客が見ており、歓声を送っていた。
(まだボク何もしてないんだけど……)
やっぱりシンオウ地方のチャンピオンからの推薦と言うのが大きいのかこの時点で観客が一目見ようと集まっているっぽい。変に視線や期待を注がれているからなんかこそばゆいし緊張する。
『さてさて、次のジムミッション挑戦者はこの方!!はるばるシンオウ地方からやって来ました、あのシンオウ地方チャンピオン、シロナさんよりの推薦者!!みんな気になるフリア選手です!!』
『わあああああああああ!!!!』
「うぐぅ……」
あのスタジアムに比べて人が少ない方であるにもかかわらず耳がキーンとなるほど大きな声が響く。ここが屋内だということを加味しても凄く反響してクラっとしてしまう。この会場の雰囲気に飲み込まれそうになるのをグッとこらえて気合を入れる。ジムリーダーと戦う時なんて絶対もっとでかいんだからこんなところで怖気付いていられない。
『そんなフリア選手が挑むターフスタジアムでのジムミッションはこちら!!』
前を見ると開けた草原のようなフィールドにたくさんのウールーがのんびりと散歩している状況。その奥には芝生とは違ったエリアがあり、その先への道は木の柵で通せんぼになっていた。
『ルールは簡単!フィールドに散らばったウールーを次の道へ進むための柵の近くまで連れていくこと!!すなわちウールー追いです!!ウールーの追い方は余程のことがない限り問いません。追うか、分かり合うか、それとも無理やりか……ウールーというポケモンへの理解とポケモンへの気持ちが試されます!!』
ようはウールーをみんなゴールにシュートしろと言うわけだ。その方法は問わず、恐らくぶん投げたり攻撃みたいなことをしても許されるのだろうけど……その方法はパスだ。ウールーが可哀想だし何よりこれ、人に見られてるしね。他の人がどうやって突破したかは知らないけど……他は他。ボクはボク。それにボク自身、シンオウ地方の代表みたいな扱いをされている以上ボクの行動はシンオウ地方の評判にも繋がるし、ボクを推薦してくれたシロナさんにも多大な迷惑をかけることになってしまう。ボク1人が非難されるならまだしも他の人を巻き込む訳にはいかない。……そう考えるとむしろプレッシャー増えてきた……。
(って、今はそんなことどうでもよくって!!)
ウールー追いと言うからには恐らくボクから逃げるように動いて行くはずだ。なら大回りをしてゆっくりと追い立ててあげれば自然とウールーたちがゴールの方に向かっていくという算段。
『ではルール説明もこの辺で、早速初めて頂きましょう!!よぉい、スタート!!』
『わああああああああ!!!!』
「ひぐぅ……うぅ、ウールーたち、よく我慢できるなぁ」
もう何度目になるかも分からない爆音に未だに慣れない感覚を感じながら前に歩いていく。思いっきり走って音を立ててウールーたちがパニックを起こして走り回っちゃうと目も当てられない。だからここは遅すぎず、だけど早過ぎずのスピードで近づいて行って……
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/7
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク