ハーメルン
《竜》の満ちる世界
08―決着

 莫大な高位階魔法の波状攻撃が、仙高人を襲う。

(とはいえ、軽く見積もってもレイドボス級………どこまでやれるか)

 冷静に自身のMPを、相手の体力を確認したモモンガは、改めて眼下の怪物を睨む。

「さて、続けるぞ」

 見たところ、炎の通りは悪くない。電気は劣悪で、水土風もそこまでいい訳でも無し。
 最も良く通るのは龍殺しなのだが、甲殻種故の先入観でそれに気付けず、モモンガは炎中心に高位階の魔法を連発していく。三重化、最強化も欠かしてはいないのだが、如何せん元の体力が莫大故に、そのタフネスには唖然とさせられる。クシャルダオラの時に使った奥の手を、と思わないでも無いが、連発し過ぎてもっと危険な存在が現れた際に使えない、では話にならない為、兎にも角にも全力で魔法を打ち込み続ける。

「神話の類………などと言っている場合ではない、か」

 その姿に目を奪われながらも、ガゼフは周囲に意識を向ける。

「弾ありったけ持ってこい!あそこまでやって貰って、おめおめ引き下がれるかよ!」
「クソ、何かないか!俺たちにできる事は無いのか!?」

 そう叫び、冒険者たちが、兵たちが必死に援護の手段を探る。

「ったく、ああ言ってくれたんだし、素直に引きゃあいいのによぉ」

 アズスもまたそう口にしながらも、視線は鋭く砦蟹を、その周辺を探っている。それはアルベドたちも同様であり、そして現在の砦蟹の背後………つまり、彼女たちの方へとヤドが向けられているからこそ、その事態に気付くことが出来た。

「あれは………試す価値はありそうね」

 視線の先には、あちこちから煙を上げる巨龍の頭骨。

「ウム………デアルナラバ」

 コキュートスが前に出る。同時に、他守護者に防御力で劣る彼を庇うべく、アルベドもその隣を進み、盾と戦斧を構える。四本腕全てに武器を構えたコキュートスは、大きく息を吸い込むと共に、敬愛する創造主より賜った、かつての彼の愛刀を握り締める。

「―――『羅刹』ッ!」

 放たれる強力無比な斬撃が、その強固な筈のヤドへと深い傷を穿った。

「―――――ッッッ!?!?!?」

 それを感知したシェンガオレンは驚愕の悲鳴を上げ、即座に迎撃せんと背部に意識を向ける。

「ッ、逃げろ、コキュートス!」

 それに気付いたモモンガの叫びに、コキュートスは守護者としてではなく、武人として返す。

「オ気遣イハ無用!ソレヨリ、攻撃ヲッ!」

 その身を飲み込まんと迫る超強酸の液塊に対し、飛び出したのはアルベド。

「『ウォール・オブ・ジェリコ』ッ!」

 全体防御スキル―――そこに、被ダメージを鎧に肩代わりさせるスキルを重ね、強引に防御。

「ぐ………ッ、セバス!」
「ハッ―――『闘気功』、『猛虎硬爬山』ッ!」

 モンクの自己強化スキルの後、攻撃スキルによる痛烈な打撃。ただでさえ自己の酸に侵され脆弱になったヤドに、その一撃は良く響き、コキュートスが叩き込んだものと併せてかなりの亀裂が入る。が、それだけの強酸により、セバスの手袋も、コキュートスの刀も相応の耐久ダメージを追ってしまう。

「貴方たちは下がりなさい。あとは、私がやるわ」


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