第3話 転移テストと遭遇戦
朝になって目が覚めると、いつの間にか美玖に抱き枕にされた。起きようとしても、がっちりと抱きしめられて、動くにも動けない。
でも悪い感じではなく、むしろ非常に気持ちよかった。何故なら彼女の全身が柔らかくて暖かいから。ずっと彼女とこうしていたい、この時間が永遠に続いたらいいと心から思った。
長い髪の毛をそっと触れると、ほんの僅かに表情が動いた。もう少し触れてみたいので、今度は彼女の頬をつんつんしてみたが、眠り姫のごとく起きる気配がなかった。
「(ちょっとだけイタズラをしよう……)」
そう思うと、私は彼女の身につけた制服に手を伸ばした。その首元に結ばれたリボンを解こうとした瞬間、目を閉じていた彼女は、驚いたかのように目を見開いて私を見つめた。
「お、おはよう美玖」
「おはようございます……今、わたしの服を脱がそうとしてましたよね?」
「君が起きないから、ちょっとだけイタズラをしようと思って……」
「イタズラで人の服を脱がすのですか⁉ 悠凪くんになら、いつ脱がされても構いませんが、その前に声をかけて心の準備をさせてください!」
「済まない……」
反則級な台詞を言い放ちながら、顔がトランザム状態になった彼女は私を抱きしめた手をそっと離し、ソファーからゆっくりと起き上がるのだった。
首元のリボンを結び直すと、彼女は何事もなかったかのようにこちらに向きなおしてきた。
「さて、朝食にしましょう。悠凪くんは何を食べたいのですか?」
「そうだな……野菜のサンドイッチを頼む」
彼女が朝食を用意している間に、私は部屋に戻って、コンソールの設定を弄ってみた。空のカモフラージュが解除されると、そこに現れたのが、無数の地球が映った星空だった。
青い地球の他にも、海が赤く染められた地球や、海が枯れた地球も映っていた。
粉々に砕けられた地球の姿も確認された。
「(あれは多分、一部の人間の利己的な環境破壊活動によって汚染された地球であろう。しかし、粉々に砕けられた地球は一体?)」
一体どうやったら直径12,742kmの惑星を粉々に破壊できるだろう?
まあ、今考えても無駄か。
この時空の狭間はエンブリヲのいた「あの空間」と同じ作りとなっていることが、今はっきりと分かった。本来の設定に戻すと、私は一階の台所に戻っていった。
ゆっくりと朝食を済ませた後、私たちはレールハイロゥを乗って、工業区画にあるMS格納庫へ向かった。此度の転移テストはハロだけを連れていくつもりだったが、美玖が一人で寂しいと言うので、一緒に連れていくことにした。
フリーダムのコクピットに乗り込むと、美玖は手に抱えたハロをシートの後ろに置いてから、私の膝の上に座った。こうして私は、美玖と狭いコックピットで密着しながら、次元転移システムのセッティング作業を行なった。
セッティングを終えると、私はメインモニターの画面から『機動戦士ガンダム00』の世界――西暦2307年を選択する。それから数秒が経った後、フリーダムの真上から巨大なリング構造物が現れた。
その形状は『無限のフロンティア』と『スパロボOG』に登場する異なる空間同士を繋ぐ時空間ゲート「クロスゲート」そのものだった。
「では、行こうか」
「はい!」
操縦桿をゆっくりと動かし、フットペダルを踏みつける。
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/3
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク