10.特級呪霊クマムシ~地上最強の生物~(4)
義善聖徳は、呪霊クマムシの性能に満足していた。
特級呪霊クマムシは、五条悟に除霊された。だが、2級呪霊程度の呪力しかないクマムシでも呪術師相手には十分すぎる性能を誇っている。規格外の耐久力と対人特化の術式。
「呪力を帯びた放射線は、呪力で防御しなければ細胞が死ぬ。だが、呪力で身を守れば花御の胞子は防げない。これぞ、領域展開を使わない必殺の構え」
「同志義善。素晴らしい組み合わせではあるのですが……なぜ、ビジュアルをクトゥルフ神話系に? ゆるキャラのクマモンというアイディアもあったでしょうに」
その通りであった。
「呪霊GO」は、呪霊が擬人化するゲームだ。それなのに、化け物ビジュアルで実装された事に彼の仲間は疑問に思っていた。折角、呪霊は見えないが隣にいつでも居る背後霊的な存在。しかも美少女という概念で日本に徐々に浸透してきた。
流石、日本。こういった適用能力に関しては、他国の追随を許さない。
「簡単な事です。それは、我々の同志の一人が、UMA娘という呪霊を作り上げたいと、私にこっそり打ち明けてくれました。一人が皆のため、皆が一人のため、一丸となって目的を達成する。これはその実験の一環です」
誰もが仲間の為に、動く。
人の趣味は様々だから、UMA娘が好きで結婚したいという同志の為に、試験的に実装されたクマムシ。流石の義善聖徳も悩ましい性癖をもつ同志がいるなと思っていたが、些細な問題と片付けていた。
大事な事だが、UMA娘でなくウマ娘である事を誰も指摘しない。
誰もが、変わった趣味の奴がいるんだなと思うだけであった。人様の性癖に寛容な連中ばかりが集まると、こういう結果になる。その重大な真実に気がつき方向修正するのは、まだ先のことだ。
………
……
…
帳の中では、呪術高専の生徒達は、呪霊に苦戦していた。
本来、弱い者が強い者に勝つための戦略や技術を駆使してくる特級呪霊。しかも、その技術の完成度は極めて高次元であった。基礎スペックが違う呪霊だ。人間の何倍もの速度で学習が可能である。
「黒閃!!」
『攻撃が直線的過ぎます。はっ!!』
虎杖悠仁の圧倒的ポテンシャルがあっても、対人戦闘を鍛えたカシマには通じなかった。黒閃を決めるどころか、手首をねじられ有り余る力を利用され地面にたたきつけられる。だが、攻撃の手は止めずに即座に呪力を込められた特級呪具游雲による追い打ちが放たれる。
地面を陥没させ、周辺にまで衝撃が行き渡る。
虎杖悠仁の常人離れした反射神経がなければ、今頃は粉々になっていた。一瞬の判断ミスが即座に死に繋がるまさにデスゲームだ。
「ちょっと、ちょっとぉぉぉ!! 流石に、一人じゃ無理だって。東堂、ソッチを早く片づけてくれ。くっそ可愛い顔してえげつない攻撃ばかりしてきやがる」
「分かってるブラザー!! だが、こっちの呪霊も相当タフだぞ。俺とパンダの二人でも潰し切れん。だが、倒せないなら、倒せないなりの戦い方はある!! 術式を解禁する。分かっているなブラザー」
意思疎通する虎杖悠仁と東堂葵。
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