13.特級呪霊ジャンヌダルク・オルタ~その胸で聖女は無理があるでしょう~(2)
修道院で子供達と一緒にカレーをごちそうになった呪術高専一年生達と五条悟。出された食事は、院長含み皆と同じ物であったので、遠慮無く食べていた。
口では文句を言いつつ面倒見が良い特級呪霊ジャンヌダルク・オルタ。子供達の食事の面倒を見つつ、片付けまでしっかり行う。更には、食後の昼寝には童話を読み聞かせるあたり、子守のお手本みたいであった……当の本人は、夜のお手本な体つきをしているのに全くけしからん存在だ。
子供達を寝付かした後、約束どおり呪術師達に立ち向かう。呪術師達の先鋒をきるのは釘崎野薔薇。
「ジャンヌダルクっだっけ? なんで、こんな事をやってんだ」
『ふっ、私は呪霊よ。当然、子供達に地獄を見せる為よ。どんな地獄か知りたいかしら?』
地獄……確かに、知性ある呪霊なら可能だろう。
先ほどまでの行動からは考えられない回答であった。だからこそ、釘崎野薔薇も悩む。コッチが本性であるならば、何の憂いもなく除霊に挑める。
ジャンヌダルク・オルタがチラチラと釘崎野薔薇を見る。まるで、何かを聞いて欲しそうな雰囲気だ。その眼差しは、まだかな~という子供のような眼だ。無視を決め込む釘崎野薔薇。
「ほら、釘崎……聞いてやれよ。なんだか、見ているコッチがいたたまれなくなってきたぞ」
「嫌だよ。だって、聖女の事、嫌いだから。あんなのが世に蔓延したら、困るだろう。私には分かる、アレは女の敵だ。虎杖もあんな女がいいってのかぁ?殺すぞ、この童貞野郎」
シクシク
「釘崎もいい加減、聞いてやれよ。泣き始めただろう。安心しろ呪言の類いの能力は持っていない。どうやら、性能は物理特化タイプらしい。いいから、聞いてやれ」
伏黒恵が「呪霊GO」のアプリを使い彼女の情報を収集していた。正式公開されていない隠しエネミーである彼女。その入手条件を求めていたが、情報が少なすぎて彼の手に余っていた。かといって、この情報を公開すれば日本全国から猛者があつまり、入手条件の特定に至るだろう。
無論、誰かが手に入れたジャンヌダルク・オルタを強奪するのも一つの手だ。
「はぁ~、で、地獄ってなんなのよ。言ってみな、聞いててやるから」
『知りたい? 知りたいのよね? 仕方ないわね、教えてあげるわ』
実に嬉しそうなジャンヌダルク・オルタ。その反面、釘崎野薔薇は疲労が溜まる。やる気が削がれるというレベルではなかった。
『この児童養護施設では、毎日7時に起床。バランスの取れた食事を与えているわ。朝寝坊したいとか、ジャンクフードが食べたいとか それができない子供にはさぞ地獄でしょうね。後ゲームも一日一時間まで』
「……で、他には?」
規則正しい生活と健康な食事……我が儘が言えず、好き嫌いが許されないなんて確かに辛い。呪霊は、人の嫌がる事を的確に捕らえていた。
『子供が嫌いな勉強も毎日やらせているわ。そんな自由がない生活を強いて、小学校、中学校、高校、大学までずーーと繰り返すのよ。高校生になったらアルバイトさせて、その内何割かはピンハネするんだから』
「………で、他には?」
子供達から不労所得を得ようなど、極悪人だ。人材派遣会社すら真っ青なピンハネだ。人間から恐れられる呪霊のやる事は非人道的すぎる。
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