14.特級呪霊ジャンヌダルク・オルタ~その胸で聖女は無理があるでしょう~(3)
なぜか、むりやり選手交代された虎杖悠仁。
状況が状況だったにせよ花御をボコボコにした経緯がある。だからといって、児童養護施設で子供達を地獄に送ろうとする特級呪霊ジャンヌダルク・オルタを殴れるかと言えば別問題だ。
「ほら、虎杖ファイト。除霊したら、うまい棒1本奢ってやるから」
「いらねーーよ。しかも、安いよ!! つーか、もう勘弁してよ。この間の動画だって、世に出回っててさ……俺、この間コンビニ帰りに知らない人に卵を投げつけられたんだぞ。『この人でなしが』って言われて。結構、心に来るんだぞアレ」
「安心しろ虎杖。俺は、赤の他人から『死ね』って言われて石を投げられたぞ。憑いていた低級呪霊《カシマ》を払ってやった事を今でも根に持っていやがった」
伏黒恵は、不幸な事に動画サイトに投稿された映像から、彼も映っており花御の元持ち主に見つかってしまった。当然、元持ち主としては、許せるはずもない。恨みを言うためにはるばる東京の地にまで足を運んできて、石を投げつけた。
それだけで済んだのは元の所有者が非呪術師であり常識人であったからだ。これが呪術師や呪詛師なら生死を賭けたリアルファイトに発展している。
『あら?怖じ気づいたの? 今なら見逃してあげても良いわよ』
「そんなことねーーよ。ただ……なんで、そんな防御力薄そうなの着ているんだよ。もっと、厚着しろよ!! 肌が見えてんだよ!! どうせ、またダメージが衣服に蓄積されて、徐々にパージされていくんだろう。本当に勘弁してくれよ」
これから打倒しようとする敵側の心配をする虎杖悠仁。
青少年の目に毒といえる特級呪霊ジャンヌダルク・オルタの戦闘用コスチューム。自らの体に絶対的な自信がないと着衣すらできない服装は、視線誘導する兵器となりうる。呪霊がそんな戦略を用いてくるとは卑怯といっても過言ではない。
『ば、ばっかじゃないの!? あんな、特殊変態仕様なのは花御だけに決まっているでしょ。私のは、ダメージを受けても脱げないわよ……脱がさないわよね。嫌よ、全国に裸の映像を流されるのは。近寄らないで、この女の敵が』
同じ呪霊でありながら大先輩の花御をディスる後輩。確かに精霊に近い花御にとって、裸など気にするほどでもない。植物は常に全裸なのだから。
特級呪霊ジャンヌダルク・オルタは、一般常識を持ち合わせている。当然、虎杖悠仁による全裸花御フルボッコ動画も視聴済みだ。よって、大衆の面前で脱がされて、ボコボコにされる事を警戒していた。
服を抑える事で胸が無駄に強調される。そして、嫌がる様は、男心を擽る。これで聖女だ。……いいや、寧ろ、日本的に言わせれば『これが聖女だ』と言うべきだろう。
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