03.特級呪霊コッコロ~主さま~(2)
都心郊外にて、世界最強の呪術師である五条悟がその力の一端を振るう。
軽く相手を撫でるだけで、触れられた方は大木を何本もなぎ倒す程に吹き飛ばされ、大地を大きく抉る。そんな攻撃を食らって形を保っている特級呪霊も大概であった。
倒れたところに、何度も追い打ちを掛ける五条悟。タダの物理攻撃が、全て必殺の威力。
「いや~、粘るね。並みの特級呪霊なら二回は殺している筈だけど」
『主さまに勝利を約束しました。だから、わたくしは負けられません』
「うんうん、いいね。そういう人間らしい所は嫌いじゃない」
ドラゴンボールみたいな戦闘を繰り広げる連中を、一般人である男は必死に追いかけていた。そして、片腕を失い、今にも倒れそうなコッコロを眼にして五条悟に飛びかかろうとした。だが、その程度で止まる相手でもない事は、この惨状をみれば明らかだ。
だからこそ、僅かでも時間を稼ぐ事に注力する。
「一つだけ教えてくれ、一体私達が誰に迷惑をかけたというんだ」
「えっ!? それ聞いちゃう? 君さ~、呪霊から貰ったお金を使ったでしょう。あれは、呪力で作られた完璧な偽札って言われる程精巧な物だよ。造幣局の人達も真っ青だったよ」
「……あ、そっちなんだ」
男は、コッコロから貰ったお小遣いを思い出した。それが偽札だったから、こんな事態になったのも納得した。
男の予想では、寝室でコッコロとオムツを履いたプレイをしている真っ最中を目撃し、出て行った妻からの依頼だと思っていたのだ。勿論、妻は見えないコッコロの存在などしらない。だから、夫が寝室で一人でオムツをはいて赤ちゃんプレイしている、としか見えていない。
そんな状況だから、何かに憑かれていると思われて除霊を頼まれたと今の今まで思っていた。だが、常識的に考えて、除霊しても復縁など考えるほど女性は温かくない。何処の世の中に、そんなど変態プレイを見せ付けた夫を助けるため、高額な除霊費用を払うのか。むしろ、慰謝料物である。
「偽札が流通するとマズイでしょう。幸い、除霊すればお金も消えるのは調べて分かっているから……諦めてね」
世にも珍しい美少女呪霊が五条悟の手によって、頭部が粉砕された。その様子を目視した男の心はポッキリ折られる。男は、その場に崩れ落ち、後から駆けつけた呪術高専に確保された。
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特級呪霊コッコロ……その誕生は、「呪霊GO」のイベント配信を始めて僅か2週間で誕生した。その全てを把握し、観察していた者達――衛星からの映像をモニターしている「呪霊GO」の運営陣。
そして、五条悟の戦闘力の高さに脱帽していた。なぜ、現実世界にドラゴンボールに登場しても遜色無いような男が居るんだと。日本人はいつから戦闘民族になったのだと。同じ人類だとはとても思えないと。
義善聖徳は、特級呪霊に成り上がったコッコロを失ったが、決して悪い成果だとは思っていなかった。
「ですが、問題ありません。別に、我々と呪術高専は敵対勢力でもありません。それはさておき、今回の実験は概ね成功です。人間は失敗から学ぶ物。それは、呪霊も同様。そうですよね、コッコロ」
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