ハーメルン
呪霊GO
09.特級呪霊クマムシ~地上最強の生物~(3)

 帳の中では、特級呪霊カシマが伏黒達を追い詰めていた。

 無論、彼等も善戦している。だが、元のスペックが違う事と何処を攻撃しても何故か衣服が破損する謎仕様で攻撃の手が無意識に抑制される。これが、特級呪霊カシマがこの姿になって手に入れた特性。これにより、衣服が轟沈するまで中身は無傷というエグい仕様。

「くっそ!! なんて堅い装甲だ。小破までしか持って行けないなんて」

「だから、伏黒。アレは何者だ!! さっきから、小破とか言っている意味がわからんぞ。ちっ!! 言っている間に既に再生している」

 伏黒恵、加茂憲紀、狗巻棘の三人が死力を尽くして小破までしか持って行けない特級呪霊。日本全国の男子達から熱烈な信仰を宿している特級呪霊相手にそこまでやったのは賞賛できる程だ。

 だが、防御特化の特級呪霊カシマの絶対領域を突破するのには足りない。

『そのナマクラでは私は切れません』

 禪院真希の不意の一撃を難なく防ぐ。しかも、攻撃した刀の方が破損し真っ二つ。一体、どんな鍛え方をしているのだと疑いたくなる。

 だが、想定の範囲内であった禪院真希は焦らなかった。特級相手に使う武器ではなかったと、ならば答えは簡単だ。特級には特級を。

「もっと良いのがあるぜ。コレを使うのは胸くそわりーがな」

『それは、特級呪具游雲。一本五億程度でしたか。これは良い物です。伏黒恵が寝室で言っ』

「真希先輩!! 今です」

 敵の情報戦を遮る伏黒恵。

「後で、全部ゲロらせるからな!!」

 確かに、大きな隙があったのは間違いなかった。禪院真希は、後でボコって伏黒恵の口を割らせることを決意した。

………
……


 禪院真希と伏黒恵の連携により、再び特級呪霊カシマを小破させた。だが、その代償として、伏黒恵には胞子の餌食になる。まさか、自らが()される側に回る事になるとは彼も想定していなかった。

 因果応報である。

 特級呪霊カシマの植物に捕まり、絶体絶命の禪院真希。起死回生を賭けて、伏黒恵は呪力を絞り出す覚悟をする。その結果、埋め込まれた胞子が成長し自分が死のうとも。

「恵!! やめろ。私らの仕事は終わった、選手交代だ」

 虎杖悠仁と東堂葵がダイナミックエントリーする。

 囚われていた禪院真希を救い出す。まさに主人公だから許されるタイミングでの登場。あと少し、遅ければ禪院真希は死んでいた。

『私としたことが少々油断しました。しかし、集団で一人を囲むのは人間のお家芸ですか』

「つーか、人型特級呪霊多すぎだろう。しかも、女とか……これ俺がマジで殴らないと駄目なの? 呪霊だからといって、女殴るとか気が引けるんですけど」

「ブラザー、その気持ち分からんでもない。――この容姿、どこかで……」

 そんな特級呪霊に仲間がやられたのも事実である。闘わないという選択肢は存在しない。

「虎杖!! そいつは、特級呪霊花御(カシマ)だ。奴へのダメージは全て衣服にいく。だから、衣服を轟沈させない限り奴への攻撃は全て無意味だ。後、衣服を轟沈させた後でも、顔だけは殴るなよ。いいか!! 絶対だからな。もし、顔を殴ったら俺がお前を殺すからな」

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