ハーメルン
ティアナ様は告らせたい~少女(一部女性含む)たちの恋愛頭脳戦~
ヒヨリは聞き出したい
「ヒヨリ、頼みたいことがあるんだ」
【トゥインクルウィッシュ】のメンバーであり、ソルの塔の最上階を目指す仲間であるレイにそう切り出されたのは、【
自警団
(
カォン
)
】で開催される料理勝負の前日のことだった。
「スポンサー?」
聞き慣れない単語に、ヒヨリは小さく首を傾げる。
「今回の料理勝負に協賛してくれる個人のことだよ」
レイから丁寧な説明を受けるが、言葉の意味はわかる。ヒヨリが疑問に思ったのは、なぜそんなものを募るのかが分からないことだ。
というのも、ヒヨリの認識としては、
「今回【
自警団
(
カォン
)
】でやるのって内輪でやる料理会、みたいなものだよね?」
安全安心の大会のはずだ。
対するレイは、軽く俯きながら口を開く。
「実は、ちょっと規模が大きくなって来たんだ。というのも、ペコリーヌがシャークヘッドレイ退治に向かってしまったらしくて、それに合わせて、というか見劣りしない食材を用意することになったんだ」
シャークヘッドレイは確かエリアボスだ。物理由来の全体攻撃だけではなく、全防御力減退、魔法由来の攻撃も仕掛けてくる強敵だ。優秀な
耐久役兼攻撃役
(
タンクアタッカー
)
のペコリーヌでも苦労は必至だ。
だが、
(……ペコさんだけじゃなくて【美食殿】のみんなで狩りに行くなら大丈夫か)
特にユウキによる全能力強化があればそこまでの苦戦はないだろう。
なので、そっちは今のところいいとして。
「エリアボスに見合う食材って……よくわからないけどきっと高いお肉とかそんなのだよね? すっごくお金かからない?
……あ、そういうことか」
自分で言って、やっと理解する。というか、そこまで説明を聞いていなかった。
レイは苦笑しながらうなずく。
「ああ。【
自警団
(
カォン
)
】が全部出す、と言っているらしいんだけど、それは悪い。何しろ、ユイが言い出したようなものだからね。
大口は【サレンディア救護院】と【
王宮騎士団
(
NIGHTMARE
)
】、それと【
トゥインクルウィッシュ
(
うち
)
】が担う」
言われた内容に、
「えっ?」
思わず声が漏れる。
忘れているかもしれないが、【トゥインクルウィッシュ】のギルドマスターはヒヨリだ。そのヒヨリに一言も相談もなく、ギルドの名前で協賛するのはいくら気心知れた仲間であっても、い、い……イカンノイヲヒョウスルヨ?
ヒヨリが構えた遺憾砲の照準に気付いたのか、レイは慌てて首を横に振る。
「違うよ、ヒヨリ。名義はギルドだけど、実際はユイが私財を投入する。
……政治、ってわけじゃないけど、言い出したユイが所属するギルドが少額なのは体裁が悪い。逆に、ユイ個人が大口の協賛をしても、ギルド名を使う相手と比較されてしまうと、【
トゥインクルウィッシュ
(
うち
)
】の格が落ちてしまう」
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