第1話!登場、S召喚使いの憑依者!
古いしきたりにとらわれた名家がある。猫崎家という。
昨今急速に勢いを増したデュエルモンスターズに、彼らも手を出し始めた。
しかし兄弟と唯一外見が異なる次男の俊二は落ちこぼれであり、連戦連敗。折角カードを手に入れてもアンティルールで奪われるというありさま。
そんな彼は学校にも居場所は無く、家にも居場所がなく、孤独な日々を送っていた。
「どうして、どうして僕は…。」
少年の心は、とうの昔に折れていた。
そんな彼からいつものようにレアカードを奪った同級生は容赦なく。
川へ突き落した。
本来ならば、この後は同級生のいじめにより死亡したというニュースが流れ、川遊びには気をつけましょう、という注意喚起がなされて終わりだろう。
だが。物語はここから始まる。
「寒っ!」
途方も無く寒く、俺はびっくりして飛び起きる。
妙に視線が低い。
川原のようだが…。何故ここに?
「なんだこれ?遊戯王のカード?」
かつて中学生から高校生のころまで友人と遊んでいたカードゲームで使用するカードが落ちている。
しかし、こんな材質だったか?
近くの水面を見る。そこには金と銀のツートンカラーの少年が映っている。
「…は?」
こんな変な髪形にした覚えはない。どうなっている?頭が痛い、ややあって俺の頭にある名前が浮かぶ。
「…猫崎、俊二?」
そこから情報収集を始めた。
どうやら猫崎家の次男で、いじめにあっているらしい。
川辺でいじめっ子に俺は川へ落とされて流されたようだ。
そこで意識を失っていたらしい。
「…その子供に俺が憑依したって事か。」
いじめられていた理由は、この髪の色が原因だろうか?
それ以外にも理由があるのだろうが…。
いじめはいじめる方に問題がある。いじめはいじめられる方に問題がある、という奴に限って自分がいじめられると反発するんだよな。
そもそも、先に手を出したほうが悪いと思うがね。
「とりあえず、さっさと独り立ちしてこの家とも縁を切るか。」
数日後、俺を川に突き落とした加害者の糞親が、『子供がやったことですから~』と言っただけで済ませられた。
それを言っていいのは被害者の方で加害者ではない。しかもそれで済ませるこの肉体の家族に対する愛も無くなった。
最低限の接触にとどめ、極力関わらないように過ごす。
この中学校でもデュエルモンスターズは流行っている。
決闘者の発掘に来ていた海馬コーポレーションの社員に接触し、色々と話をした。
同年代とは別格のカード知識とプレイングに、社員は驚いたようだ。
そんな社員と二人きりになった時。俺は川に突き落とされた事などを話し、このままだと殺されるから助けてほしい!と訴えた。
その人は俺と変わらない年齢の子供がいるらしく、上に掛け合ってくれた。尤も。
『中等部の全国大会で優勝したら、新しい召喚方法のテスターになってもらう。代わりに身元を保証する』という内容だったが。
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