ハーメルン
三国志と劉備が好きな俺が三国時代に転生したけど、なぜか袁紹だったので、とりあえず袁家滅亡を防ぐために頑張ってみることにした件
第拾四話『南がダメなら西に進めばいいじゃない!』
さて、ボク陽をなんとか攻略した俺たち袁紹軍だが、それ以上の進撃は断念せねばならなかった。
ボク陽攻略戦での被害もあり、ボク陽周辺の俺たちと曹操軍の戦力が拮抗しているのだ。しかも、実際には俺たちがかなり不利である。
なにしろ、俺たちが陳留に攻め込むなら、ボク陽を発して虎牢関の前を通っていかなくちゃならない。そうすると当然曹操軍は、陳留で正面から受け止め、虎牢関が横をつくというフォーメーションで戦うことができるのだ。これはとてもよろしくない。
わが軍の誇る軍師たち、郭嘉先生、田豊、そして関羽の三人が必死にシミュレーションをしてみたが、結局芳しい結果は出なかった、とのことだ。
当然、洛陽に攻め込むなら言わずもがな。こちらは虎牢関を突破しなければならないので、さらに難しくなる。
そういうわけで、俺たちはボク陽を復興させながら、機をうかがってみてるわけだ。
* * * * *
そうしているうちに、西暦192年は終わり、193年になっていた。
機をうかがいながらボク陽の復興にあけくれる日々、それにちょっと退屈さを感じていたある時……。
顔良が俺の執務室へとやってきた。
「袁紹様、袁紹様に会わせたい者がおります」
「ん、どんな奴だ?」
「はい。よし、入れ」
顔良に促されてはいってきたのは、まだあどけない表情をした若者だ。確かに表情はあどけないが、その眼光は、とても鋭いものを備えている。
「この者は、私が指揮下の兵の中から目をつけて、自ら鍛え上げた万旋という者です。その結果、まだ経験不足ながら、指揮官としてもやっていけるほどの実力を備えています。袁紹様、どうか彼をわが軍の武将の陣容に加えることをお許しいただきたい」
「あぁ。指揮官が増えるのはこちらとしてはありがたいからな。喜んで加えさせてもらうよ」
「ありがとうございます」
「ありがとうございまちゅ! この恩は決して忘れまちぇぬ!!」
「お、おう……。ちゅ?」
ちょっと語尾がおかしいとは思ったが、それ以外は変なところはなかったので、謁見はその後、何事もなく終わったのだった。
……顔良、もしかして彼を変な方向に鍛えすぎて、結果的に変な感じに洗脳してしまったんじゃないだろうな……? 郭嘉先生みたいな腹黒い幹部は、彼一人で十分だぞ。
* * * * *
さて、その後はまた機をうかがいながらボク陽の復興に励む日々が続いた。後漢朝廷から州刺史の位を授かったりなどのイベントはあったが、それ以外には特になく。
ただいつもの日々を過ごしてる時、それは起こった!
ある日、俺の執務室に、曹操からの使いと名乗る男がやってきて、こう告げたのだ。
「我が君は、最近華南で勢力を拡大し、後漢朝廷の権威を損なおうとする孫堅を打倒すべく、一大連合を結成することをお決めになられました。すでに、陶謙殿、呂布殿、劉表殿が連合に加入する意思を表しておられます。しいては……」
「俺にもその連合に入ってほしい、というわけだな?」
「さようでございます」
うーん……どうするべきか。というのも、最近俺は、曹操との対決は延期して彼とは同盟を結び、先に陶謙をつぶして侵攻路を増やしておこうかと思っていたのだ。
しかし、ここで連合に加わっては、その考えがおじゃんになってしまう。かといって拒否したら、俺は連合に入っている諸侯を敵に回すことになってしまう。現状は陶謙は中立を保っているからいいが、さすがに曹操と陶謙の二人に攻められてはやばいことになりかねない。
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