ハーメルン
三国志と劉備が好きな俺が三国時代に転生したけど、なぜか袁紹だったので、とりあえず袁家滅亡を防ぐために頑張ってみることにした件
第拾八話『東部戦線・その参~東武追撃戦』
「部隊の様子はどうか?」
自分の首を狙って迫りくる袁紹軍の兵を片端から切り捨てながら、ゾウ覇は自分の横で同じく戦い続ける副将に問うた。
「はっ。6割ほどが混乱から立ち直っている様子です」
それを聞いたゾウ覇は、うなずくと獰猛な笑みを浮かべた。
「よし、それだけ立ち直っていれば十分だ。全軍、攻勢に移れ! 目の前の袁紹軍を蹴散らし、北海に突入するぞ!!」
ゾウ覇隊の戦い方が防戦から攻勢に一転した。その様子は、ゾウ覇隊と戦っていた張飛の目にもはっきりとわかった。
彼の副将・范彊が言う。
「張飛の大将、奴ら攻勢に移ったようだ! こちらに勝てるぐらいまで混乱から立ち直ってるようだぜ!」
「ちっ、奴らめ、なかなかやるじゃねぇKA! 野郎ども、ひるむな! 関羽の兄貴の準備ができるまでふんばりやがREEEE!!」
引き続き、激闘を演じる張飛隊。しかし、さすが陶謙軍随一の猛将と言われるゾウ覇が率いるだけあり、ゾウ覇隊は精強かつ強大であり、張飛隊は、有利に戦いを進めていた戦況から一転、少しずつ、しかし確実に、壊滅に向かって進んでいた。
「張飛の兄貴、すまねぇ。俺の隊、張達隊、壊滅しちまった……! ぐふっ」
「おい、ち、張達!? ちきしょう、関羽の兄貴は何ぐすぐずしてるんだYO!」
そう言いながらも、張飛はやってきた陶謙兵を切り捨てた。
繰り広げられる激戦。その中、張飛隊は大きな被害を受け続け、数を減らしていく。袁尚隊の援護なく、さらに戦いが長引けば張飛隊は壊滅し、その勢いをかって突撃したゾウ覇隊によって、北海は奪い返されていたであろう。
だが、天は張飛隊に味方した!
「大将、あれを見てくれ! 狼煙だぜ!!」
范彊に言われて振り向くと確かに、北海から青い狼煙がたなびいていた。
「関羽の兄貴、やっと準備ができたか! よーし、野郎ども後退だ! 作戦通り、奴らを東武まで誘導するZO!!」
そして張飛隊は後退を開始。時を同じくして、袁尚隊も後退を開始した。
* * * * *
「奴らめ、ついに我らの強さの前に逃げ出したか。よし、全軍突撃! 敵部隊を追撃しながら北海に突入する!!」
後退する張飛隊。そしてそれを追撃するゾウ覇隊。そして、北海の近く、東武にて追いついたゾウ覇隊は、張飛隊を割り裂くように突破し、さらに北海に迫る。
はたから見れば、ゾウ覇隊は、張飛の隊を突き破ったかのように見える。だがそれは、張飛隊がそう見えるように隊を動かしていたからであり、先ほどの退却も、ゾウ覇隊を誘導するためのものであった。いや、実のところ、半ば潰走しているようなものだったのだが。それはともあれ……。
もし鳥の視点を得ることができれば、張飛隊がわざと左右に散開し、ゾウ覇隊に道を開けているように見えるだろう。そして道が開けた先に待っていたのは……。
こちらに向かって駆けてくる袁紹軍・関羽隊の姿だった!
「張飛の奴、ギリギリだったみたいだな。東武までたどり着くのが予定より少し早まってしまっていたとは。だが、その分は俺たちが補えばいいこと。皆の者、陶謙軍が態勢を整える前に一撃を加えるのだ!」
関羽の号令一下、彼率いる隊は、ゾウ覇隊に向かって猛突撃を開始した!!
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