プロローグ 転生
ーー……雨が降り頻り、その街道を多くの人々が行き交う中、とある児童養護施設の一室にて1人の少年が、漫画を読んでいた。
暗い茶髪の少年、黒瀬 大雅。彼が熱心に見ている漫画は"ベルセルク"というダークファンタジーである。
ベルセルクは内容がエグい部分があり、特に強姦や死体、殺人、臓物の表現が強い漫画であり、そんなシーンに加え、ワンピースなどにはある快活な表現が少ないが、独特な読者が多い。
「ふぅ、今日も面白かった。さてそろそろ寝るかな。」
ベルセルクを読み終えた大雅は本を棚に戻し、眠りに着く。
彼は幼い頃、2度親に殺されかけた。
1度目は生みの親にネグレクトを受け、瀕死の所まで行った所を役所と警察、施設の人間に保護され、その際に一命を取り留めた。
2度目は新しい里親に引き取られた時、その時は父親から暴力を受けて心と身体に傷を負い、その後再び施設に保護された。
2度家族に裏切られた大雅は、初めは人間不信になったがそこから施設の人々の必死の治療の甲斐もあって、大半の人間を信用出来るようになってきた。
「(明日は……まぁ良い日になればいいかな。外にでも行くか。)」
そうして眠りに着くと、大雅の意識は底に落ちていった……。
ーーー。
大雅Side
「(あれからどんだけ時間が経った?もうそろそろ朝か?だとしたら起きないと……。)」
そう思いながら身体を動かそうとしたが、思うように身体が動かない。手足が可笑しいのか?
ゆっくりと目を開けると、そこには茶髪の女の人がおり近くに同じくらいの赤ん坊がいるのだが、というか、近くでカラスがカァーカァー、鳴いているのは何故だ?
「(あれ?この人、ベルセルクのシスさんじゃないか?んじゃ、あの子はガッツで……って、ここはまさかベルセルクの世界か!?)」
寝て起きたらベルセルクって!?一体何が起きた!?俺あの後どうなったんだ?!
「んぎゃーーー!んぎゃーーー!」
ヤバい、声も赤ん坊の物しか出せない!
そんな事に戸惑っていると、シスさんは俺の事を優しく撫でながら泣き止ませてくれた。
その温かさが、とんでも無く心地よい。
すると、俺を殴ろうとしていたのかガッツの父となる男、ガンビーノが拳を振り上げていたが、それをシスさんが庇ってくれた。
「ちっ!そのガキ寝かしつけとよシス!」
「うーー。あ……あぅ……タ、イ…ガ……。ガッ……ツ。」
俺とガッツを抱きながら、とても幸せそうに笑うシスさん。俺達の名を呼びながら、シスさ……義母さん嬉しそうに笑うのだった……。
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