ハーメルン
起きたら金髪碧眼の美少女聖女だったので、似たような奴らと共同生活始めました
聖女、敗北を経験する
「アリス。気合い入れて来たんだから役に立ちなさいよ」
「でないとポーション代、お姉さんが貰っちゃうよー?」
「わかってます。任せてください」
着替えから約三十分後、俺達は揃ってバイト先へと到着していた。
場所はこの前と同じ墓地──ではなく。
「なんで学校の校庭なんだよ?」
二日程前に体操着姿で走った場所、すなわち私立
萌桜
(
ほうおう
)
学園のグラウンドだった。
戦闘のために運動靴を履いて来ているので土の地面に不安はないものの、コスプレめいた格好で学校に居ると妙に落ち着かない。
前回同様、魔法使いか大賢者といった服装の教授はふっと笑い、
「前回、アリスが結界を張れることがわかっただろう? 人払いができるのならば、墓地以外の場所にも進出して良いと思ったのだ」
邪気の溜まりやすい場所として墓地は鉄板だが、その他に「人の多い場所」というのもあてはまるらしい。
若者が多く集まり、様々な感情の入り乱れる学校がその一つだ。
特定の場所でばかり戦うよりも色んなところで戦った方が邪気を払う効率が上がるので、今回は場所を変えてみたというわけだ。
「なるほどな。……でも、恥ずかしいから早く終わらせて帰りたい」
「ならば、気張って支援に努めてくれ」
フォーメーションは前回と同じ。
近接戦闘をノワールが担当し、朱華とシルビアが中衛。教授は基本的に指示出し係だが、前回のように雑魚が多い場合は接近してぶん殴る。
俺はなるべく安全な位置から神聖魔法を使うのが仕事だ。
俺は聖印をぐっと握りしめると「わかった」と頷く。既に結界は張ってある。神聖な力と俺達の気に影響され、すぐに変化が現れる……はず、だという。
そんな予告は現実のものとなって、
「来ました」
ノワールが常の優しい口調とは違う、プロフェッショナルを感じさせる雰囲気で呟く。
数秒後には俺にも感じ取れるようになった。
校庭の中央。
地面から膨れ上がった黒い靄のような力が集合していき、何か大きなものを形作っていく。
「あれ、もしかしてこれ、ボスっぽい?」
「……そのようだな。大きさからして雑魚ではなかろう」
敵の形は段々と明確になっていく。
シルエットとしては十字に近い。頭に胴体、左右に広がる一対の腕──いや、翼か。足には鉤爪が付いているのが少しずつわかってくる。
鳥だ。
色は赤。燃えるような、というよりも
本
(
・
)
当
(
・
)
に
(
・
)
燃
(
・
)
え
(
・
)
て
(
・
)
い
(
・
)
る
(
・
)
翼を備えた怪鳥。
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