ハーメルン
起きたら金髪碧眼の美少女聖女だったので、似たような奴らと共同生活始めました
聖女、悲鳴を上げる
翌朝、日曜日。
目覚めた直後、体調が悪いと気付いた。疲れはきちんと癒したのだが、精神的な疲労が影響したのか、それとも睡眠不足のせいか。
朝食後は風邪薬を飲んで寝よう、と思いつつ起き上がり──怠さ以上の違和感。
約一か月前の悪夢が蘇るのを感じつつ身体を確認すると、
「わああああああぁぁぁっっ!?」
「どうしました、アリスさま!?」
「血、血が!」
駆け込んできたノワールは適切に対処してくれた。
詳細は省くが、血の処理とか道具の使い方とかだ。若干の前後はあるが、女子になって大体一か月。つまりはそういうアレだったらしい。
知識としては知っていたものの、本当に驚くな、これ。
「……やっぱり女子なんか嫌だ」
朝食の席で思わず弱音を吐けば、朱華が苦笑気味に、
「昨夜の決意はどうしたのよ」
「毎月これがあるんだろ? ……生物として欠陥じゃないのか」
「まあ、それはあたしも、なければない方がいいけど。っていうか、そういうのも魔法でなんとかならないわけ?」
「さすがに無理じゃないか……?」
少なくともゲームには全く登場していない。
一応試したみたところ、やっぱり成功しなかった。なんとなくできそうではあるのだが、具体的な呪文や集中方法がわからない感じ。
とりあえず治癒魔法を使ったら痛みが和らいだので、食後は布団を被って寝ることにする。
寝てれば早く治るというものでもないだろうが、不調の時に体力を使う必要もない。
教授が箸を動かしつつ「ふうむ」と唸り、
「アリスの心境が変わるのを待っていたようなタイミングだったな」
「『俺は男だ』って信じ続けてれば戻れたってことか……?」
そうだとしても、さすがにそこまで思い込みは激しくないが。
「駄目だよアリスちゃん。ちゃんと女の子を楽しむって決めたんでしょ?」
「いや、楽しむとは言ってないですからね?」
慣れる努力を積極的にする、という程度の話だ。
シルビアは「うんうん、わかってるよー」とか言いながら頷いて、
「今度、お姉さんとお洋服買いに行こうね?」
「あ、ずるいですシルビアさま。わたしも、わたしも一緒に行きますからね?」
「面白そうじゃない。あたしも行ってあげる」
「ちょっ。なんかすごいことになりそうなんだが……」
宣言した手前と、体調のせいで気力が湧いて来ないのもあって、俺はシルビア達との買い物をなし崩しに了承することになった。
ちなみに教授は「若い者で行って来ればよかろう」と不参加を表明。自称百歳以上ではあるが、本当に年齢のよくわからない人である。
部屋でごろごろしているうちに日付が変わり、月曜日。
起きても倦怠感が消えていないことに溜息をついてから、俺は朝の身支度を始めた。回復魔法をかけ直し、洗顔や着替えを行っていく。
洗面所から出ようとしたところで朱華が起きてきて「はよー」と気の抜けた挨拶をしてくれる。
「体調はどう? 学校行けそう?」
「行きますよ。後もう少しですし」
七月頭に転入したので、夏休みまでの期間は二週間と少ししかない。
既に半分近くを消化しているのだからもう一頑張りだ。
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