十三話
百合ケ丘のカフェテラスにて、とある三人の生徒が各々時間を楽しんでいた。
ズズっと綺麗な所作で紅茶を飲んでいるのが、百合ケ丘のエースとも孤高のリリィとも言われる白井夢結。そして、イレギュラーであり、HUGEに寄生されながらも生き長らえている男のリリィ、浅野悠斗。
そして、だらしなく顔を緩め、机に到底乙女のするような行動では無いことをしている一柳梨璃である。
「えへへ~」
そんな梨璃は幸せ有頂天と言った感じである。憧れの夢結とシュッツエンゲルの関係にもなり、昔から探していた悠斗とも再会できた。気持ちはまぁ分からんでもない。
たがしかし、気を抜きすぎではなかろうか?
「梨璃、あなた講義でしょ? 予習は?」
「分かってはいるんですけど、今こうしてお姉様のお顔を見られるのと、悠斗くんと一緒に居られるのが幸せで幸せで……」
「……だからといって、その体勢はないと思うが……」
(……ダメだわこの子。完全にたるみ切ってる。まさか、シュッツエンゲルになった途端にここまで緩むとは……迂闊だったわ)
と、その時背後にいた三年生である、田村那岐と、ロザリンデ・フリーデグンデ・v・オットーが通りがかり、夢結と梨璃、そして悠斗の姿に気がつくと笑顔で挨拶を交わした。
「あら、ごきげんよう悠斗さん」
「ごきげんよう、ユリさん。それに悠斗さん」
「ごきげんよう那岐様、それにロザリンデ様」
「あ、あはは……ごきげんよう」
当然、色んな意味で仲の良い悠斗は二人に対し手を振って挨拶を返すと、二人も嬉しそうに手を振る。それに対し、梨璃は照れくさそうに挨拶を返した。
それに対し、夢結は首を傾げる。
「はて、ユリさん……? 誰かと間違えたのかしら」
「あ、それカップルネームです」
「「カップルネーム?」」
夢結と悠斗の声が重なり、わかってないもの同士で顔を合わせた。こちらです! と案内する梨璃の後ろを着いて行った二人だが、梨璃が指さした先には一つの新聞が張り出されていた。
「これは…………」
「これです。週刊リリィ新聞の号外です」
そこには、目立つように夢結の写真と梨璃の写真があり、目出しには『異色のシュッツエンゲル誕生! 夢結×梨璃』とでかでかとあった。
それを見た悠斗は若干引いた。そこには何故か楓のコメントも書かれてあった。内容にも引いた。
「ほら、横に並べると『ゆ』『り』って読めるんですよ」
そして、今時の人である夢結と梨璃がいることにより、カフェテラス内が仄かに騒がしくなる。
「ほら、ユリさんよ」
「まぁ、このお二人が?」
「ユリ様ですわね!」
「ユリ様ね」
「ユリ様ですね」
ちなみに、悠斗は既に全学年に存在は知られているため、特にこういった騒ぎは起こらないため、この時だけは高みの見物を決めることが出来た。
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