3話
「あぁ」
「だから、ディアがそうだと思ってくれたその時に、またもう一度聞いて欲しい。その時は、必ず答えを出そう。とも言っていた」
「それがどうかしたのか」
「私はもう、そうだと思うのだ。短い時間しか共に過ごしていないが、フェイは私を大切にしてくれている、心から想ってくれていると私はここ一ヶ月ほどずっと思っていた。だから、もしフェイが望むならば……」
ディアのその言葉と顔に、どきりと心臓が弾む。
「私と共に、永き時を生きてはくれないだろうか……?」
こちらをじっと見つめて、普段の凛々しい表情ではなく、不安そうな表情だ。
緊張故か、断られた時の恐怖故か、少しばかり震えてもいる。
この半年の間、ずっとディアと共に過ごしていて、どの様に言葉で表せば良いのか分からないが、随分とディアに惚れ込んだらしい。
それも、ディアに龍と変わらないぞ、と言われるほどには独占欲を発揮している。
何よりも、ずっと側に居たいと願っているのも確かだ。
緊張していて、上手く表す事が出来ないが俺の想いは、答えは当然決まっている。
「あぁ、喜んで。これから永い時を共に生きよう」
逆プロポーズをされた日の夜。
「フェイッ、フェイッ……!」
再び、昂ったディアに風呂から上がり寝室のベッドに腰掛けたタイミングで間髪入れずに押し倒された俺は、今回は十日にも渡って家に篭りディアと励むことになり、疲労困憊になったのは言うまでもない。
今までよりもずっと、ずっと嬉しそうに、そして幸せだと言わんばかりの雰囲気と態度で、俺の名前を呼びながら身体を重ね続けて来るディアと、それに答えるべく無気なしの体力と男として、夫としての意地を振り絞りディアばかりにならないようにする俺は、それはもう疲れて疲れて仕方が無かった。
流石にディアも流石に一日置きの連続の数日以上に及ぶ情事では疲れたのか、ぐったりとしていた。しかしとんでもなく嬉しそうに幸せそうに俺の腕を抱いている。
既に恒例となりつつある、疲れた身体を引き摺って後片付けと食事を済ませてベッドに潜り込む。
再びディアと抱き合いながら、疲れたな、と言い合いながら目を瞑る。
だがそれでも心底遥かに幸せだと、思った。
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