4話
春から夏の間に森に行って出くわすと、互いに顔を合わせつつ触れないように静かにその場を去る。
そして件のティガレックスだが、何年か後になってディアが飛竜夫婦に聞いた話だと何処か別の場所に移動したらしい。
それならば元いた場所に戻るのか、と聞いたがどうやら相当に荒らされてしまって到底戻れそうにないらしい。それに別の竜が縄張りにしていて、戻るために命懸けで争うぐらいならば、そのままこの森に居着きたいのだとか。
引き続き人間には害を与えないから、宜しく頼む、と。
それによって、まぁ別に構わないか、と俺は思ったし村の皆も害が無いなら、と言うことで納得していた。
今では春になると、村の皆も此方に牙を向けないのなら別に良いか、と村の上空を飛ぶ飛竜を見るのが村での春の訪れを告げる風物詩になっている。
「今年も来たなぁ」
「おぉ、おぉ空飛んで気持ち良さそうだ」
「まだ肌寒いけどな」
なんて会話が毎年されている。
これが、竜と人が共存する、理想の光景なのかもしれないな……。
などと嬉しく思いつつ。
今年もまた、春が訪れるのを飛竜夫婦を見て感じるのだった。
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