3.見せてみろ
麻真がメジロマックイーンに指示した基礎トレーニングは、彼女の日常を少しずつ変えていた。
今現在、メジロマックイーンが行っている基礎トレーニングは、麻真の指示で鍛える箇所を上半身と下半身に分けて、この二つの箇所を交互に鍛えている。
メジロマックイーンが上半身を限界まで鍛えた翌日は、当然のように彼女の上半身の筋肉が筋肉痛になる。だが上半身を鍛えた日は下半身を鍛えていないので、上半身が筋肉痛でも下半身の筋肉を鍛えることができることを麻真は指摘した。
そして上半身が筋肉痛の日に下半身を鍛えれば、翌日には下半身の筋肉が筋肉痛になる。なら今度は、既に“筋肉痛の治まっている”上半身を鍛えば良い。メジロマックイーンはこれを一日ずつ交互に繰り返していた。
本来なら筋肉痛は一日程度では治らない。しかしメジロマックイーンの身体の筋肉痛は丸一日休ませると、その翌日には不思議と彼女の身体にあったはずの筋肉痛が消えていたのだ。
基礎トレーニングを始めたばかりの頃はメジロマックイーンもその変化に驚いていたのだが、数日経てば彼女も納得せざるを得なかった。
それは自分のトレーナーである北野麻真の“トレーナーとしての能力”の一端を、メジロマックイーンが垣間見た瞬間だった。
メジロマックイーンが基礎トレーニングで限界まで身体を酷使した後、麻真は彼女に様々なことを指示し、実施していた。
まずは基礎トレーニング後に、麻真が何処からか持ってきた“特製のドリンク”と“スナック菓子のようなモノ”をメジロマックイーンに食べさせていた。彼曰く、それはトレーニング後の栄養補給でとても効果があるらしい。
次に、ストレッチだ。疲れ切っているメジロマックイーンが適当に行わないように、麻真が補助をして丹念に彼女のストレッチを行う。
そしてストレッチを終えたメジロマックイーンがシャワーで汗を流した後、麻真は彼女の身体を丁寧にマッサージしていた。
マッサージをすると麻真から聞いた時、初めは流石のメジロマックイーンも男性に身体に触られることに対して否定的だったが、渋々彼からマッサージを受けてしまったのが運の尽きだった。
このトレーナーこと北野麻真は、マッサージが“非常に”上手かった。実際に受けたメジロマックイーンも麻真からマッサージを受けた途端、心地良さのあまりに惚けた顔をしていた程だった。彼曰く、自分でもトレーニングした後は良くやっていることらしい。
そうして麻真のマッサージを終えて夕食を済ませ、自室で読書などで時間を過ごした後、夜に適温の風呂に入ることで更に身体を癒し、最後はベッドでしっかりと熟睡する。
この一連の流れが、麻真と基礎トレーニングを始めたメジロマックイーンの放課後ルーティンとなっていた。
「ようやく今日の練習も終わりましたわ……」
制服姿のメジロマックイーンがソファに座ると、彼女はそのままソファに身体を預けてるなり全身の力を抜いていた。
今日も厳しいトレーニングを終え、ストレッチからマッサージまで終えた後、夕食までの時間をメジロマックイーンは麻真に呼ばれてトレーナー室で過ごしていた。
トレーニング後に麻真から話があると言われてトレーナー室までメジロマックイーンが彼と一緒に来た後、麻真は何かを取りに行くと言ってすぐにトレーナー室から立ち去っていた。
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