ミホノブルボン
マスター……マスター……、マスター、聞こえていますか?
驚かせてしまって申し訳ありません。しかし、先程より何回もお呼びしても反応がなかったので。どうかされたのですか?
……なるほど、最近耳の調子が良くないと。失礼ですが、少し耳の中を見せて頂いても宜しいでしょうか。
では、失礼して……マスター。かなり耳垢が溜まっています。反応が遅かった原因は、耳垢による難聴が原因であると推測されます。
病院に行かれることをお勧めしますが……なるほど、器具の音がキツくてあまり行きたくないと……。では、僭越ながら、私が耳かきを致しましょう。
遠慮などされないでください。マスターが今の調子では私としても困りますので。どうか、このまま膝枕の上に頭を置いてください。
……はい、素直になっていただけて感謝します。では、早速耳かきを始めますね。
まずは外側からやっていきましょう。綿棒でゴシゴシ……外側の粉の部分を擦っていって……ゴシゴシ……ゴシゴシ……グシグシ……凄い汚れです、マスター。もう綿棒が黄色く染まっています。
耳のケアを怠る事は推奨できません。お風呂上りにはかならず外側もしっかりと拭いてください。そうでなければ、今後もこうして粉が噴いてしまいます。
え……、なんで詳しいのかですか? 父もマスターと同じで、母がよく耳かきをしてあげていましたので、私も、自然と勉強しました。
さ、さぁ、続きをしていきましょう。次は、耳の中を掃除していきます。
耳かきで……カリカリカリ……小さい耳垢はそのまま……カリカリと端から掻いていって……すぐに取れますね。まずはこの辺りの小さいのから……カリカリカリ……カリカリカリ……。
え……なんで口にしてるかですか? その、父がこういうのが好きなので……マスターは嫌いですか? え、好き? そ、そうですか……それでは……続けます。
カリカリカリ……コリコリコリ……剥がれてきたので力を入れて……ペリッ……ペリッ……はい、取れました。
どうでしょうか? 痛く……ないですか? 少しむず痒い。申し訳ありませんが、それは我慢してください。次……始めます。
コリコリ……カリカリカリ……少し固いですね、慎重に……あ、マスター、頭を動かさないで。……そんなに痒いんですか? では……。
こうして……頭を撫でて……心を鎮めて……、痒み、少しは収まりましたか? そうですか。では、耳かきを再開します。それでも我慢できないのなら、私のスカートを掴んでいてください。
カリカリ……ペリッ……はい、端が剥がれてきましたので、もう少しです。頭を撫でて欲しい? いえ、ここはこのまま一息に剥がしてしまいましょう。そう、スカートをしっかり掴んで……。
ガリガリ……ガリガリガリ……ベリッ……ベリッ……っ、と。もう少しですマスター。もう少し……で……っ!
はい、無事に取れました。一番大きい物です。こんな大きい物、初めて見ました。マスター、改めて、耳のケアをすることを強く勧めます。
……そうですか、そんなに病院に行かれたくないのですか。それなら、私が今後、マスターの耳かきをさせていただきます。
え? 悪い……ですか。いえ、問題ありません。マスターにはお世話になっていますから、これぐらいはさせてください。それに……私もマスターの耳かきを……したいと思って……いますので。
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