第二話「君の名前」Bパート
「あっ、リク! 大丈夫!?」
目を覚ました時、リクは星雲荘の中に居た。
「ッ、ルカは!?」
叫んでから、リクは胸に走る痛みに呻いた。
「はわわ、大丈夫!?」
「平気だ。それより、ルカは……」
痛みを噛み殺して問うと、ペガはゆっくりと俯き、首を振った。
「ごめん……どこか、行っちゃった」
「そんな……」
〈現在、ユートムで捜索中です。AIBにも状況を伝え、協力を受けています〉
説明を聞きながら、思い出す。
結局、タイガのエタルダミーを少しでも遠くへ運ぼうとしている間に、ウルトラマンジードは力尽き、消えてしまったということを。
また、聞いた話では同じ頃にスカルゴモラも姿を消し、それを察知したエタルガーと、彼の回収したタイガのエタルダミーも次元の穴を通り、何処かへと去って行ったとのこと。
だが、その際に再来を宣言していたために、ゼロは敢えて深追いせずこの地球に残留し、レイトの身体で星雲荘の中まで来てくれていた。
そして、もうすぐ日付が変わるほどの時間が経ったのに――ルカの行方は、ようとして知れないという。
「ごめん。私のせいだ」
現状把握が終わった途端。ライハが、深々と頭を下げてきた。
「別に……ライハのせいじゃないよ。逃げろって言ったのは僕だし」
空中でウルトラマンから人間の体に戻ったリクが、それでも無事に地上で気絶できていたように。おそらくスカルゴモラから人間の姿に変わったルカも、その出現する位置を変えることができたのだろう。
健脚を誇るライハと、飛行できるユートムがあっても見失ってしまったのは、そう考える以外になく。ライハに落ち度を求めるのは、お門違いだ。
「違う……そもそもその前。あの子が取り乱したのは、私のせい」
そう考えていたリクの前で、ライハは謝罪を続ける。
「私が勝手に言っちゃったの。あなたがウルトラマンで……あなた達は、ベリアルの子供だって」
「それは……ただの事実だ」
「そう、ただの事実。でもそれは、誰かを傷つけるには充分」
〈――学習装置には、ウルトラマンジードが、ベリアルを倒したことが記録されていました〉
ライハの説明に続くように、レムもまた、滔々と語り始めた。
〈ライハだけではありません。一般常識に該当することだからと、与える影響を考慮せず知識を詰め込ませた私にも、責任の一端はあります〉
「ぺ、ペガもだよ! リクはリク、ルカはルカだって考えなしに言って、追い詰めちゃった……」
「……そんなこと言ったら、僕だってルカの前で、ルカと同じスカルゴモラを痛めつけて、倒した。よりによって、あのタイガに似た姿で」
仲間たちが次々と懺悔するのに、リクも耐えられなくなりそう返した。
「――ったく。誰も悪いわけじゃないだろ。そんなの全部遅かれ早かれだ」
そんな空気を裂くように、少し離れた位置に居た伊賀栗レイト――ゼロが、見てられないとばかりに口を挟む。
「悪い奴が居るとしたら、まずはエタルガーだ。あの子の見てるところで、リクにスカルゴモラのエタルダミーを倒させるよう仕掛けてきやがったんだからな。まんまと乗せられたのを反省するのは良いが、責める相手を間違えるな」
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