第三話「恩讐の果てに」Cパート
「終わりだなぁ、ウルトラマンジード!」
ベリアルキラーザウルスを操るヤプールが、勝ち誇った声を発する。
全ての触手で四肢を念入りに拘束され、ベリアルジェノサンダーを流し込まれながら、首まで太い腕で掴まれているウルトラマンジードの状況はまさに、絶体絶命と言って差し支えなかった。
いくら、リクの想いがある限り、ウルティメイトファイナルのエネルギーが尽きることはないとしても。この状況から反撃できる手段はいずれも、ベリアルキラーザウルスの額に埋まったライハを殺めてしまうものばかりだ。
それ故に打つ手なしのまま、想いの源である命を直接破壊されてしまっては、どうしようもなくなるだろう。
――ライハを救えないまま、敗北するわけにはいかない。こいつは次に、ルカの命まで狙うつもりだというのに――!
「憎きウルトラマンとレイブラッドの血脈……その一つを、まずはここで断ぁつ!」
処刑宣告とともに、ベリアルキラーザウルスの目に怪しい輝きが灯り――それが破壊熱線として放たれる前に、別の光条が、究極超獣へと降り注いだ。
「――星雲荘!?」
救いの手に最初、ゼガンの再起動を予想したジードが目にしたのは、夕焼けに照らされたネオブリタニア号の黒い船体だった。
「レム、なんで――ルカはっ!?」
「(――私はこっちだよ、お兄ちゃん!)」
ジード――リクの疑問が届いたかのように、その声が脳に響いた。
一拍遅れて、雷鳴のようなスカルゴモラの咆哮が、黄昏の街に轟き渡る。
「ルカ……何を!?」
その姿を認めたジードが、危惧した通りのことが起きた。
スカルゴモラの方を向いたベリアルキラーザウルスの触手の内、二本の拘束が緩まった。解けたそれらは、内の一本が無造作にベリアルデスサイズをネオブリタニア号へと発射。回避行動を取るも避けきれるものではなく、被弾したネオブリタニア号の船体が傾き、墜落していく。
その結果を見届けもせず、もう一本と合流した二条の触手が、スカルゴモラの肉体に突き刺さった。
「よくものこのこと出て来たものだな。死ねぇ!」
ヤプールの号令で、ベリアルキラーザウルスが咆哮とともに触手のエネルギーを励起させようとした。
――だが、それより一瞬早く、スカルゴモラに突き刺さっていた先端部から、ベリアルキラーザウルスの触手が破裂する。
「ぬぅ、超振動波か!」
そうして、拘束が緩まり、さらにはベリアルキラーザウルスの注意が逸れたおかげで。ジードは残りの拘束から脱するチャンスを得られた。
「ストリームデトネーション!」
ウルティメイトファイナルの全身に描かれた金色のライン、ゴールドストリームから電磁破砕光線を発射。纏わりついていた触手を引き千切り、ジードの首を掴んでいた右腕を灼き弾く。さらにベリアルキラーザウルスの本体の内、ライハには影響の出ない右胸の発光器官にも、傷を与えることに成功する。
憤怒の咆哮を上げるベリアルキラーザウルスが、残る左手から赤い爪を伸ばした。ベリアルデスクローを模した引っかきを、ジードは掌を蹴り上げて逃れる。
そうして、ベリアルキラーザウルスが左胸に残った発光器官から放つ白熱光、テリブルフラッシャーで諸共に攻撃されたスカルゴモラの前に移動が間に合い、ジードはバリアを展開して妹を庇った。
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/12
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク