第10話 囚人ナンバー41
貴族の私兵たちに大人しく捕った後、その後どんな制度で裁くものかと知りたかったのだが、司法制度どころか結局裁判も何もなく彼らはモモンガを囲んで殴りつけてきた。
しかしモモンガは常時発動型特殊技術として上位物理無効化を持っている。どれだけ殴られようとビクともせず、打点1のダメージさえ受けることはない。
どれだけ殴りつけられていただろうか。結局殴り疲れたのか私兵たちは諦めてモモンガを馬車に乗せるとモモンガは王都から遠く離れた場所まで連れて去られ、地下にある牢屋に入れられていた。
(あれ……裁判は?)
♦
数日が経過した。
この国には法律がないのだろうか。結局裁判というものはなかった。
しかしここに来てモモンガにも分かったことがある。まずここにはモモンガ以外にも囚人がたくさんいるということだ。それも皆屈強な肉体をした者ばかりである。
そして時折彼らは牢から出ていくと疲れ切って帰ってくる。そして中には帰ってこない者もいた。
その間、暇なのでずっとインベントリの整理をしたりナーベラルへ<伝言>を飛ばして報告を受けたりしていた。
ナーベラルの報告によると冒険者としての名声はまだまだ得られていないらしい。『虫けら程度の依頼しかなく、成果を出せずに申し訳ありません』とのことだ。
(まぁ最初は最低ランクから始まるんだし簡単な仕事しか回してもらえないのかもなぁ。荷物持ちとか力仕事とかでもやってるのかな……。いきなり王族とコネクションが取れたりするわけもないし……)
モモンガとしてもそろそろここで情報収集を始めないといけないと思いながらインベントリの整理を続けていたその時、隣の房に入ってる体の大きいハゲ頭の男が話しかけてきた。
「よう、新入り。地獄の底へよく来たな」
「ん?ちょっと待て……これをここにしまってっと。よし。ああ、よろしく先輩。で、ここはなんなんだ?」
モモンガが禿げ頭にそう返すと大声で笑われる。<生命の精髄>で確認したところここで見た人間たちの中では一番レベルが高そうだ。
「うはははははは。聞いてたとおりキモの太え新人だな」
「そうか?俺の名前は……」
「あー、ここじゃ名前なんて必要ねえよ。お前の呼び名はもう決まってるからよ」
「は?」
「そこの房の上に数字が書いてあるだろう。お前の名前は囚人ナンバー41だ。まぁ短い付き合いだろうがよろしくな」
「囚人ナンバー?なんだそれは?詳しく教えてもらえるか?」
何のことだか分からないが41とは縁起がいい。アインズ・ウール・ゴウンのギルドメンバーの数と同じではないか、とモモンガは気分を良くする。
気分良く男の話を聞いているといろいろと分かったことがあった。
まずはここは貴族が秘密裏に経営している闇闘技場であるらしい。そこには犯罪者や借金で首が回らなくなった者、誘拐され無理やり連れてこられた者など様々だが、囚人としてここでそれぞれ戦わされるらしい。
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