第1話 ナーベラル・ガンマ
私の名前はナーベラル・ガンマ。
ナザリック地下大墳墓における最終防衛拠点である第9階層を守る戦闘メイド六連星の一人だ。
我々は至高の存在より創造されたものでありその命は御方のためだけに捧げられる。そのために存在しているというのに鉄壁を誇るナザリックでは一度も我々の階層まで攻め込まれたことがない。それは残念ではあるが誇らしいことでもある。
そんなナザリックは至高の存在により栄光をもたらされ、毎日が光り輝くような日々であった。
私の創造主である弐式炎雷様やほかの至高の御方々はお隠れになってしまっているものの、モモンガ様という最高位の至高の御方にお仕えすることができてこの上ない幸せであったのだが……。
「はぁ……いよいよユグドラシルのサービス終了かぁ……」
モモンガ様のその言葉に心がざわつく。『サービス終了』とは何を指すのだろうか。それはもしかして最後に残られた至高の存在がこの地から去ることを指すのではないかと。
「アルベド……ついにここまで攻めてくる敵はいなかったが……ご苦労だったな」
守護者筆頭であるアルベド様の肩を優しく叩くモモンガ様。そしてセバス様から順にプレアデスにねぎらいの言葉をかけてくださる。
『労いなど不要です。至高の御方々のために働くことこそ我々の喜びです』そう言いたかったがアルベド様が黙っているというのに私程度がモモンガ様に何を言えるというのだろう。
そしてモモンガ様が今伝えている言葉、それはまさに役目を終えた者に対するものなのではないだろうか。
もしかしたらモモンガ様も他の御方々と同様にこの地を去ってしまうのではないだろうか。
───私の肩を叩かないで、どうか叩かないでください
───お願いします、いつまでも仕えさせてください
その願いもむなしくモモンガ様の手が私の肩へと触れる。至高の存在に触れられた喜びとともにたとえようもない恐怖を感じる。
───しかし
モモンガ様との別れは訪れなかった。
♦
「え!?何!?どした!?」
私の目の前でモモンガ様が戸惑われている。いや、モモンガ様が冷静さを失うはずもないのでこれも何らかの理由があっての行動なのだろう。
しかし、私自身は非常に戸惑っていた。それもそのはず玉座の間にいたはずの私とモモンガ様は森の中に佇んでいたのだ。
こんな事態は想定外であるが、こんな時こそモモンガ様をお守りしなくてはいけない。
「モモンガ様!ご安心ください!ここがどのような地であろうともモモンガ様は私がお守りいたします!」
モモンガ様の前で跪き、忠誠の視線を向けるもモモンガ様は顎に手をやって黙り込んでしまわれた。おそらく私などでは想像もできない高尚なことを考えていらっしゃるのだろう。
「NPCがしゃべってるだと……なんだこれは……それにここはどこだ?ナザリックは沼地にあったはず……転移?まさかそんなことが……GMコールも利かないし……」
モモンガ様の言葉に神経を集中するが、その言葉は難しく私の頭ではほとんど理解できない。私ではモモンガ様の質問に答えられない……お役に立てない……、それならば……。
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