第8話 冒険者ナーベと蒼の薔薇
私の名前は冒険者ナーベ。モモンガ様のご命令に応えるために虫けらからの依頼を受けて魔物を殺して回っている。
「GUGYAAAAAAAAAAAA」
今回の依頼は王都からエ・ランテルまでの魔物を皆殺しにしろというもの。確かそんな感じの依頼だったはずだ。全部殺せばいいならば実に楽でいい。
しかしオークの頭を杖で叩きつぶしながら考える、これがそれほど評価される任務なのだろうかと。簡単すぎてあくびが出るとはこのことだろう。これで冒険者としての名声を得ると言えるのだろうか。
また一つ今度はゴブリンの首が引きちぎれてどこかへ飛んでいく。走りながら目につくモンスターは皆殺しにしている。依頼期限は5日間と言われていたがこれならば3日もかからないだろう。
そんな感じで目に入るものすべて殺戮しながらエ・ランテルに向けて進んでいると久しぶりに目の前に虫けらの集団が現れた。これはモモンガ様の命令で殺すわけにはいかない虫けらどもだ。
「た、助けてくれええええええ」
「うわああああああああああ」
と思っていたがどうも私が殺すより前に魔物たちに殺されそうになっている。魔物の数50匹はいるだろうか。いい気味である。
「いえ、そうじゃなかったわね……」
私が殺さなければならない魔物を下手に抵抗されて勝手に殺されて手柄を横取りされても困るし、虫けらが死に絶えるまで待っているのも面倒だ。
「<魔法効果範囲拡大化><火球>」
とりあえず魔物だけが密集している部分に魔法を放ってみる。悲鳴を上げながら半分くらいが焼け死んだ。それに気づいた魔物たちの目が一斉に私を見つめてくる。その眼に宿るのは戸惑いと怒り。
その気持ちはよく分かる。虫けらたちを殺しているのを邪魔されるのはとてもイライラするものだ。とてもよく分かる。
「GUFUGUFUGUFU」
「GYAGYAGYA」
怒りに任せて私の方へと一斉に向かって来る魔物たち。気持ちは分かるがモモンガ様の命令であるし殺すことに戸惑いはない。むしろ固まってまとめて向かってくれば私を倒せるなどと思っているのであれば失笑ものだ。
「<魔法遅延化><衝撃波>」
遅延化させた<衝撃波>を放つとモンスターたちは一瞬歩みを止め警戒したが、魔法の発動が失敗したと勘違いして下品な笑い声を上げながら再びこちらへ向かってくる。本当に愚かだ。
そんな魔物たちが私に襲い掛かろうと一丸となったその時……。
「GYAAAAAAAAAAAAAAA」
遅延された魔法が発動する。
十分に引き付けられ放たれた<衝撃波>が残りの魔物の多くを巻き込み血肉へと変えて地面へと降り注ぐ。
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